子安こやす)” の例文
それは以前に何のよしみもなくて雇はれて来た子安こやす君達とは違ふ。それで居ながら私達の間には妙に奥歯へ物の挟まつたやうなものが出来た。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「はい、産寧坂さんねんざかの下の陶器すえもの作りの家の老婆としよりが、夜泣き癖のある孫を負うて、子安こやす観音へ夜詣りに来ていたのでございました」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
京浜電車の子安こやす停留場の近くにも片原町という字がある。武蔵北埼玉郡鴻茎こうぐき村大字根古屋ねごや字片原、この根古屋にも城址がある。根古屋は山城の城下を意味する地名である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それからは霎時しばらくとほざかつてたが、四十一ねんぐわつに、一人ひとり寺尾てらを子安こやす篠原しのはら大網おほあみたる駒岡こまをか諸遺跡しよゐせきぎて、末吉すゑよしかゝつてると、如何いかに、如何いかにである。
突きかけた方は同県下子安こやす妹田いもだ農場の一噸積トンづみシボレーの使い古した牛乳トラックで、衝突と同時に機械と運転台をメチャメチャにした上に、運転手の蟹口才六かにぐちさいろく(三十一)は頭蓋骨粉砕、頸骨
衝突心理 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
をとこにてもあれかしと敢果はかなきことうらなひて、表面うわべ無情つれなくつくれども、子安こやすのおまもなにくれと、ひとよりきてことそのまゝ、不案内ふあんないをとこなれば間違まちがひだらけ取添とりそへて、美尾みをはゝ萬端ばんたんたのめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
横浜在子安こやす、子安農園。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
子安こやす生麦なまむぎ鶴見つるみ、川崎——、浦づたいの道はそこで切れて、六ごう川の渡舟わたし——、乗合いの客はこんでいた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どういうわけでかこの阿弥陀如来は、唇が開き歯が見えて、ちょっと珍しい顔の仏様であるので、一名を歯ふき仏ともとなえたそうであります。(同上。東京府八王子市子安こやす
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
矢上やがみしかり、高田たかたしかり、子母口しぼぐちしかり、駒岡こまをか子安こやす篠原しのはらたる箕輪みのわもつと不有望ふいうぼう
子安こやすは近世は主として地蔵じぞう観世音かんぜおん霊験れいげんと結合しているが、そういう中でもなお古い頃の民族信仰の名残が見つけ出されるということは、四十年も前に一度書いてみたことがあり
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
姥神はまた子安こやす様ともいって、最初から子供のお好きな路傍の神様でありました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)