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嫌忌
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けんき
ふりがな文庫
“
嫌忌
(
けんき
)” の例文
その上前に述べたとおり、あらゆる種類の
嫌忌
(
けんき
)
すべき伝説のために、その巨大な下水道は恐ろしいことどもでおおわれていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
また多くの科学者の中には芸術に対して冷淡であるか、あるいはむしろ
嫌忌
(
けんき
)
の念をいだいているかのように見える人もある。
科学者と芸術家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今幕府への
嫌忌
(
けんき
)
と見えて杉蔵らが獄さえ免ぜず、遊学生も容易には出さず、
坐
(
い
)
ながら事機を失う、残念なり。せめては中策にても
出
(
い
)
だせかし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
しかも打ちながら、自分は人並にこの鐘を撞木で
敲
(
たた
)
くべき
権能
(
けんのう
)
がないのを知っていた。それを人並に鳴らして見る猿のごとき
己
(
おの
)
れを深く
嫌忌
(
けんき
)
した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
姦淫
(
かんいん
)
を興味の中心とするような芸術作家の
軽佻
(
けいちょう
)
さを、憎みきらっていた。姦淫は彼に
嫌忌
(
けんき
)
の情を起こさせるのだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
ともに
嫌忌
(
けんき
)
せずして勝手に唱えしめ、ただ一身の自家宗教を信ぜずして、これを
放却
(
ほうきゃく
)
するの外に方略あるべからず。
学問の独立
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
かれはそこをさらにぎんみして、障害を突破しよう、あるいは解消させようと試みたが、しかも
嫌忌
(
けんき
)
のおののきを感じながら、攻撃を中止してしまった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
と、ふだんは持つ、あのいやな性質に対する
嫌忌
(
けんき
)
も忘れて、その久しく訪れて来ないことをさびしく思う。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われ等の最も
嫌忌
(
けんき
)
するのは、そこに何等の批判も考慮もなしに、ただ外面のみを扮装した、
似而非
(
えぜひ
)
人物の
似而非
(
えぜひ
)
言論を鵜呑みにせんとする、
軽信
(
けいしん
)
家の態度である。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
もう一つ美作の特徴として、
挙
(
あ
)
げなければならない一事がある。徹底したる佐幕思想——ということがそれである。したがって美作は同じ程度に、勤王思想を
嫌忌
(
けんき
)
した。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
詩を思う人の心は、常に
現在
(
ザイン
)
しないものへ向って、熱情の
渇
(
かわ
)
いた手を伸ばしている。そして実に多くの詩人は、彼自身の存在に
鬱屈
(
うっくつ
)
しており、自己に対して
憎悪
(
ぞうお
)
と
嫌忌
(
けんき
)
とを感じているのだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
あらゆる
毛孔
(
けあな
)
が一時に息を吐いたやうだつた。明子はその秘密に
気取
(
けど
)
られるのを
嫌忌
(
けんき
)
するかの様にすばやく身を
飜
(
ひるがえ
)
して自動車のステップを踏んだ。女は熱く湿つた呼吸をボアの羽根毛に埋め込んだ。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
あれほどの名刀がそんなにも
嫌忌
(
けんき
)
されたか、この話の中心ともなるべきものでございますから、簡単にその理由を説明しておきますが、いくつか説のあるうちで、今に最もよく
喧伝
(
けんでん
)
されているものは
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しかし十九世紀の道徳観念の前に立たする時、彼はいかにも
嫌忌
(
けんき
)
すべきものらしく思われ、また実際嫌忌すべきものである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして彼は
嫌忌
(
けんき
)
の念をもってみずから尋ねた、だが多くの者のうちにある汚さんとするこの欲求は——自分や他人のうちの純潔なものを汚さんとするこの欲求は
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それだから蓄音機は潔癖な音楽家から軽視されあるいは
嫌忌
(
けんき
)
されるのもやむを得ない事かもしれない。
蓄音機
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
人
(
ひと
)
のする
如
(
ごと
)
くに
鐘
(
かね
)
を
打
(
う
)
つた。しかも
打
(
う
)
ちながら、
自分
(
じぶん
)
は
人並
(
ひとなみ
)
に
此
(
この
)
鐘
(
かね
)
を
撞木
(
しゆもく
)
で
敲
(
たゝ
)
くべき
權能
(
けんのう
)
がないのを
知
(
し
)
つてゐた。それを
人並
(
ひとなみ
)
に
鳴
(
な
)
らして
見
(
み
)
る
猿
(
さる
)
の
如
(
ごと
)
き
己
(
おの
)
れを
深
(
ふか
)
く
嫌忌
(
けんき
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
かれはすぐに——そしてことにもっと若い頃にはそうだったが——不安と
嫌忌
(
けんき
)
をおぼえて、日常生活のけだかい
艱難
(
かんなん
)
へ、神聖で冷静な奉仕へもどりたくてたまらなくなるのだった。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
文明の風に多妻多男を
嫌忌
(
けんき
)
して、そのこれを嫌忌するの
成跡
(
せいせき
)
は甚だ美にして、今日の人の家を成し国を立つるに最も適当し、これに反するものは必ず害を
被
(
こうむ
)
りて免るべからざること
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それ以来彼は、
嫌忌
(
けんき
)
すべく教えられた偉業について、のろうべく教えられた偉人らについて、天意的にしてまた人間的なる犯すべからざる意義を明らかに見た。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
何かしら人間の進化の道程をさかのぼった遠い祖先の時代の「記憶」のようなものがこの理由不明の畏怖
嫌忌
(
けんき
)
と結びついているのではないかという疑いが起こし得られる。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
涙を流し、身を震わし、
嫌悪
(
けんお
)
の念にむせびあげていた。彼女を、彼ら皆を、自分自身を、自分の身体を、自分の心を、
嫌忌
(
けんき
)
していた。軽侮の暴風が彼のうちに荒れていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
はなはだ
心得違
(
こころえちがい
)
なればこれにならうなかれと禁ずれば、その禁止の言葉の中におのずから他の党派に反対してこれを
嫌忌
(
けんき
)
するの意味を含有するがゆえに、たといこれを禁じ
了
(
おわ
)
るも、その学生の一類は
学問の独立
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そうしてみると、世の中には、多くの人に喜ばれる流しをはなはだしく
嫌忌
(
けんき
)
する人間もまれにはあるという事実を一つの事実として記録しておく事もむだではないかもしれない。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
大事なアントアネットの一生を滅ぼしたあの困窮について、
嫌忌
(
けんき
)
の念をいだいていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ことによると、この「
嫌忌
(
けんき
)
の遺伝」は、正当の意味での遺伝として生殖細胞のクロモソームを通して子孫に伝わるのでなくして、むしろ「教育の効果」として伝わるのかもしれない。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかしクリストフは、両者いずれにたいしても大なる
嫌忌
(
けんき
)
の念を感ずるのみだった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
生徒のこのあだ名から私はどうしても単純な憎悪や
嫌忌
(
けんき
)
を読み取る事ができない。
亮の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“嫌忌”の意味
《名詞》
何かを忌み嫌うこと。
(出典:Wiktionary)
嫌
常用漢字
中学
部首:⼥
13画
忌
常用漢字
中学
部首:⼼
7画
“嫌”で始まる語句
嫌
嫌悪
嫌疑
嫌味
嫌厭
嫌気
嫌応
嫌疑者
嫌々
嫌惡