太刀打たちうち)” の例文
さればといって社会的及び科学的知識の体系を備えて男子側の思想家と論理的に太刀打たちうちの出来る程度に達しているものでもないのです。
婦人改造と高等教育 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
ともかく沖縄の王様にも等しく、我儘わがままなところもあったでしょうが、実に風格があって、同男に太刀打たちうち出来る人物は、いませんでした。
沖縄の思い出 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ことによるとあのをんなは、わたしが太刀打たちうちはじめるがはやいか、ひとたすけでもために、やぶをくぐつてげたのかもれない。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「うむ、大したものだ。これを真似まねて、早速百隻の不沈軍艦をつくれば、日本海軍に太刀打たちうち出来ないこともあるまい」
「どうも君みたいな酒豪しゅごうにはホッケエ部で、太刀打たちうちできるものがいないから、たのむから帰っててくれよ」とにこやかにさとされ、「はい、はい」と素直に立ち上がると
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
麦の炊きようも知らない分際で、台所奉行から出世した関白と太刀打たちうちが出来るものでは無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
初めから英米の学者と太刀打たちうちをさせるつもりでなく、先方の研究の発表を待って、その中の本筋の実験を拾って、こちらでそっくりその真似まねをさせてもらいたいというのである。
原子爆弾雑話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
妻君は、田舎ゐなか流儀の馳走振に、日光塗の盆を控へて、すきが有つたなら、切込まうと立構へて居るので、既に数回の太刀打たちうち一方ひとかたならず参つて居る自分は、いたくそれを恐れて居るのであつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
うだ/\、全體ぜんたい杉村君すぎむらくんは、我々われ/\蠻勇ばんいうおどろいてしまつたのだ。とて太刀打たちうち出來できないから、それで見物けんぶつまはつたのだ。人間にんげん利口りこう出來できてる。我々われ/\馬鹿ばか出來できてるよ』と水谷氏みづたにしふ。
そうしなければ太刀打たちうち出来ない窮境に陥りかけている事を本能的に自覚したせいであったろう。トタンにお玉が差し伸べた手をシッカリと握ったものだ。お玉は吾輩の耳元に唇を寄せて囁いた。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あなた様とは、よい太刀打たちうちかな——といわれた大名があるそうですな」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太刀打たちうちをしようと思うのだ。おれは女をおびやかして、盗人を働いたなどとは云われたくない。」
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もってしても、まずとても太刀打たちうちができまいな
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)