大久保おほくぼ)” の例文
「まあ、大概たいがいのことはわかつてゐるつもりですが、貴女あなたがはからなら、大久保おほくぼ生活せいくわつがいつそくはしくわかつてゐるはずぢやないですか。」
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その時分じぶん先生せんせい御質素ごしつそなものであつた。二十幾年にじふいくねんもつとわたしなぞは、いまもつて質素しつそである。だんは、勤儉きんけんだいして、(大久保おほくぼ)のいんしてもい。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯いつか怪談の出た晩、人つ子一人ひとり通らない雨降りの大久保おほくぼを帰つて来るのに辟易へきえきしたことを覚えてゐる。
「仮面」の人々 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
老中間部まなべ越前守殿同井上ゐのうへ河内守殿同久世くぜ大和守殿同大久保おほくぼ長門守殿若年寄わかどしより石川近江守殿同黒田豐前守殿同土岐とき丹後守殿なり右の人々ひと/″\立會たちあひ嘉川家一件種々いろ/\評議是ある所土岐丹後守殿進み出られ今度の一條主税之助儀先一おうよろしからぬやうに聞ゆれども又逐電ちくでんせし用人共も合點がてんゆかざる儀なり金子きんす盜取ぬすみとり候罪を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大久保おほくぼ出発しゆつぱつしてからもなく、彼女かのぢよがまたやつてた。そのかほつてあかるくなつてゐた。はなしまへよりははき/\してゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
横額よこがく二字にじ、たしか(勤儉きんけん)とかあつて(彦左衞門ひこざゑもん)として、まるなかに、しゆで(大久保おほくぼ)といんがある。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あいつはおれ財産ざいさん惹着ひきつけられてゐるんだ。」大久保おほくぼはいつかさうつてゐたけれど、竹村たけむらには其意味そのいみ全然ぜんぜん不可解ふかかいであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)