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困惑
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こんわく
ふりがな文庫
“
困惑
(
こんわく
)” の例文
美貌に眼をつけた上級生が無気味な
媚
(
こび
)
で近寄ってくると、かえってその愛情に
報
(
むく
)
いる方法を知らぬ奇妙な
困惑
(
こんわく
)
に
陥
(
おちい
)
った。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
さすが、
甲州流
(
こうしゅうりゅう
)
の
軍学家
(
ぐんがっか
)
、
智謀
(
ちぼう
)
のたけた
民部
(
みんぶ
)
といえども、この
急迫
(
きゅうはく
)
な
処置
(
しょち
)
には、ほとんど
困惑
(
こんわく
)
したらしく、
憂悶
(
ゆうもん
)
の色がそのおもてを
暗
(
くら
)
くしている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
マスノや小ツルさえ、
困惑
(
こんわく
)
の色を
浮
(
う
)
かべていた。彼女たちにしても、泣きだしたかったのだ。しかし泣けなかった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
たえす塾生たちを
困惑
(
こんわく
)
させた一事があった、それは「
蹶起
(
けっき
)
部隊」とか、「行動部隊」とか、あるいは「
占拠
(
せんきょ
)
部隊」とかいう言葉が使用され、三日目になって
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
困惑
(
こんわく
)
の目の色がだんだんと
憤怒
(
ふんぬ
)
の光を
帯
(
お
)
びてきた。だが、今夜はそんなことで
駭
(
おどろ
)
くようなあたしじゃない。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
私は最初のいくつかの野薔薇の
茂
(
しげ
)
みを一種の
困惑
(
こんわく
)
の中にうっかりと見過してしまったことに気がついた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
孔悝の名において新衛侯
擁立
(
ようりつ
)
の宣言があるからとて急に呼び集められた群臣である。皆それぞれに
驚愕
(
きょうがく
)
と
困惑
(
こんわく
)
との表情を
浮
(
う
)
かべ、
向背
(
こうはい
)
に迷うもののごとく見える。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
新吉は八五郎の顏に擴がる
困惑
(
こんわく
)
を享樂するやうに、階下から二階を案内します。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは万一ちがっていたら、かえって人さわがせになるし、
殊
(
こと
)
に病人を出して家中が混乱しているところへ、新しい
困惑
(
こんわく
)
を加えるのはどうかと思ったのである。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、当然疑われたが、彼の眼を見た政職の眼には、その解答ともいえる
困惑
(
こんわく
)
と自己
苛責
(
かしゃく
)
の容子が明らかに現われていたことは官兵衛にとって
見遁
(
みのが
)
し得ない
示唆
(
しさ
)
だった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私にはまだよく
解
(
わか
)
らずにいる相手の気持もいくらか
明瞭
(
はっきり
)
しはしないかと思って、
却
(
かえ
)
ってそういう私自身の不幸をあてにして仕事をしに来た私は、ために
困惑
(
こんわく
)
したほどであった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
米屋の主人の聰明な顏が、ひどく
困惑
(
こんわく
)
して居ります。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのうちに、彼の表情に、
困惑
(
こんわく
)
の色が浮んできた。
小首
(
こくび
)
をかしげると、
呻
(
うめ
)
くようなこえで
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
諮問
(
しもん
)
をうけた面々もまた、
軒
(
のき
)
に火がついたような
困惑
(
こんわく
)
を顔色に燃やしながら
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
困惑
(
こんわく
)
しきっている間に、時間がたってしまった。ふと気がついてみると、列車は、動いていた。しかも最終の車両が、もうホームの真中あたりへ来て、相当のスピードを出していた。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、この程度の問題に当っても、
困惑
(
こんわく
)
を面にあらわして衆に
諮
(
はか
)
るのであった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、
名状
(
めいじょう
)
すべからざる
困惑
(
こんわく
)
を感じた。しかし
遂
(
つい
)
に、彼は女の躯から手を放そうとはしなかった。自分の胸の中で、
嗚咽
(
おえつ
)
するその女が、ただもういじらしくて仕方がなかったし、それに
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
家康からの条件に、おそらく一益は、
困惑
(
こんわく
)
したろう。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前の二枚の
標章
(
マーク
)
と
合
(
あ
)
わせてこれで三枚になったのだった。警部の
面
(
おもて
)
には
困惑
(
こんわく
)
の色がアリアリと現れた。グッとその
小布
(
こぬの
)
を
掌
(
て
)
のうちに握りしめると、警部は、車外に出てザクリと
砂利
(
じゃり
)
を踏んだ。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
立ち
淀
(
よど
)
むしかないような
困惑
(
こんわく
)
に陥ちた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
困
常用漢字
小6
部首:⼞
7画
惑
常用漢字
中学
部首:⼼
12画
“困”で始まる語句
困
困憊
困難
困苦
困却
困窮
困厄
困阨
困悶
困絡