かへ)” の例文
きびすかへしてツト馳出はせいづればおたかはしつて無言むごん引止ひきとむるおびはし振拂ふりはらへばとりすがりはなせばまとひつきよしさまおはらだちは御尤ごもつともなれども暫時しばし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼れは努めてもとの冷靜にかへらうとしてゐたが手の震へをとゞめる事が出來なかつた。夫れを人々に知られるのをにくんだ。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
立停ると、あわただしくポケットを探りながら、クルリきびすかへして、ツカ/\と林檎を賣る少女の前に突ツ立ツた。そして
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
其處そこ長髮ちやうはつ敝衣へいい怪物くわいぶつとめなば、寸時すんじはやくびすかへされよ。もしさいはひ市民しみんはば、すゝんで低聲ていせいに(おう)は?とけ、かれへんずる顏色がんしよくくちよりさきこたへをなさむ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どくがまだのこってたら、それこそはかりいのちからまこといのちかへらする大妙藥だいめうやく!……まだぬくい、おまへくちびる
かへるべからず、いたづらに無效の聲と過ぎ去らじ
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
かへり咲きの 梨花二三輪
山果集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
風早學士は、覺えず首をちぢめて、我に返ツた。慌てて後へ引返さうとして、勢込むできびすかへす……かと思ふと、何物かにおどかされたやうに、ちよツと飛上ツて、慌てて傍へ飛退とびのき、そして振返ツた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)