トップ
>
呻吟
>
うめき
ふりがな文庫
“
呻吟
(
うめき
)” の例文
「いまになって」七重が苦痛の
呻吟
(
うめき
)
のように云った、「いまになってそんなことをうかがうなんて、あんまり悲しゅうございますわ」
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つまり押しくるめていえば学士会院の二時の鐘と血だらけの顔、そしてその
裏面
(
りめん
)
に潜む革命の
呻吟
(
うめき
)
、これがこの話の大体である。
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
かくて一昼夜にして始めて
呻吟
(
うめき
)
の声きこゆ。その後は
飲食
(
をんじき
)
共にやうやう匕もてあてがひ、かくすること半年、竟に愈えぬ。
『聊斎志異』より
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
けれどもどうやらお綾さんが人間らしくなって来たので、いささか心を
安
(
やすん
)
じたは
可
(
い
)
いが——寝るとなると、櫛の寝息に、追続いた今の
呻吟
(
うめき
)
。……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
呻吟
(
うめき
)
がしだいに
耳障
(
みみざわ
)
りになってしようがない。猫を追いだすようにこの睡眠の
邪魔物
(
じゃまもの
)
を遠ざけるわけには行かない。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
▼ もっと見る
人だか獣だか夫までは分らぬけれど、長く引く
呻吟
(
うめき
)
の声だ、其の物凄い事は何とも云えぬ。唯ゾッとする許りである。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
僧侶らしい顔もあった。皆の顔は苦痛のために、眼は
引釣
(
ひきつ
)
り、口は
歪
(
ゆが
)
み、唇や頬には血が附いていた。そこからは嵐のような
呻吟
(
うめき
)
と
叫喚
(
さけび
)
が
漏
(
も
)
れていた。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
幽
(
かすか
)
な
呻吟
(
うめき
)
を残して置いて、直に息を引取つて了つた——一撃で種牛は倒されたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お銀様は、その
呻吟
(
うめき
)
の声の起るところを知るに惑いました。幸いにしてお銀様は、悪魔の戯れには慣れている。
況
(
いわ
)
んや琵琶の脅迫に怖れて、吾を忘れるようなことはありません。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
園内を歩くと、
蝉
(
せみ
)
のヌケ
殻
(
がら
)
が
幾個
(
いくつ
)
も落ちて居る。昨夜は室内で、小さなものゝ
臨終
(
りんじゅう
)
の
呻吟
(
うめき
)
の様なかすかな
鳴声
(
なきごえ
)
を聞いたが、
今朝
(
けさ
)
見ればオルガンの上に
弱
(
よわ
)
りはてたスイッチョが居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ですけれど法水さん、やっとこれで、
善行悪報の神
(
ムタビヌチオ
)
の存在が私に判りましたわ。何故かと申しますなら、暗闇の中から
呻吟
(
うめき
)
の声が洩れた瞬間に、私の頭へこのスイッチの事が
閃
(
ひらめ
)
いたのでした。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
時々苦しげな
呻吟
(
うめき
)
の聞える月経時の女の
躯
(
からだ
)
が、やっぱり不安であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
暗い冬の夜の
呻吟
(
うめき
)
に惱ませられた北方
漂泊者
(
ジプシイ
)
のわたしは
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
だが、車軸はいつまでも遠くで
呻吟
(
うめき
)
を、つゞけていた。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
岸破
(
がば
)
と
跳
(
をど
)
りぬ。そはなれが
呻吟
(
うめき
)
の聲か
接吻
(
くちづけ
)
か。
母
(旧字旧仮名)
/
アダ・ネグリ
(著)
棄てられし
負傷
(
ておひ
)
の兵の息絶ゆる
終
(
つひ
)
の
呻吟
(
うめき
)
か。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
忽
(
たちまち
)
にものの
呻吟
(
うめき
)
、やはらなる足に
触
(
ふ
)
れつつ
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なほ黒き
呻吟
(
うめき
)
をしのび
寂寞
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
不思議な
呻吟
(
うめき
)
のようなものが細ぼそと聞えた。省三は耳をたてた。それは玄関の方から聞えて来る声らしかった。彼は怖ろしい予感に襲われて急いで
起
(
た
)
ちあがって玄関の方へ往った。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼れはふと目を
醒
(
さ
)
まして、それと氣がつきながら、妹の樣子を見に行かうともせねば、聲を掛けもしなかつた。寢返りを打つて再び眠りに就かうとした。が、
呻吟
(
うめき
)
が次第に耳障りになつて仕樣がない。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
棄てられし
負傷
(
ておひ
)
の兵の息絶ゆる
終
(
つひ
)
の
呻吟
(
うめき
)
か。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
あなや、また
呻吟
(
うめき
)
は
洩
(
も
)
るる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
つくは
呻吟
(
うめき
)
。
如是
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
痛楚なる人が
呻吟
(
うめき
)
も
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
これも
呻吟
(
うめき
)
。
如是
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
沈痛
(
ちんつう
)
の
呻吟
(
うめき
)
この時
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“呻吟”の意味
《名詞》
呻 吟(しんぎん)
苦しくてうめくこと。
(出典:Wiktionary)
呻
漢検1級
部首:⼝
8画
吟
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“呻吟”で始まる語句
呻吟声
呻吟中
呻吟聲
呻吟籠居
呻吟転輾