否々いや/\)” の例文
のべければ後藤は否々いや/\其樣に禮を云ふには及ばず夫よりはまづ貴殿の疵所きずしよ手當てあて致されよと申に後藤は某の疵はわづかばかりなりと云ふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三田が否々いや/\といふつもりで首を横に振ると、子供もそれをうち消すやうに頭を横に振る。三田はすつかり參つてしまつて、思はず苦笑した。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
同じ長家ながやる重二郎の母をけようと思ったが、否々いや/\先程又作が箱の中へ入れて隠した書付が、万一ひょっとしての三千円の預り証書ではないか
御拂おはらひになるなら」とすこかんがへて、「六ゑんいたゞいてきませう」と否々いや/\さうにけた。御米およねには道具屋だうぐやけた相場さうば至當したうやうおもはれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
或は今夜此筆を擱く迄には、何等か解決のはしを發見するに到るかも知れぬが、……否々いや/\、それは望むべからざる事だ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
否々いや/\、この石田清左衞門は木偶でくのやうなものだ。お前にあやつられて踊つただけの事ではないか」
先生せんせいを他国の人と眼解みてとりあざむきてたばこの火をかりたるならん、可憎々々にくむべし/\否々いや/\にくむべからず、われたばこの火をかして美人にえん(烟縁)をむすびし」と戯言たはふれければ、岩居を拍て大に笑ひ、先生あやまて
後藤はとゞ否々いや/\打擲ちやうちやくなしてもし打處が惡く殺しもなさば死人に口無却つて面倒めんだうなり先々拙者の連こそ幸ひ某しにまかすべし面白き計らひあり命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
否だろうけれども性来せいらい怜悧りこうの生れ付ゆえ、否だと云ったらば奉公も出来難できにくい、辛く当られるだろうと云うので、ま手前も否々いや/\ながら己の云うことを聞いてくれた処は
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先生せんせいを他国の人と眼解みてとりあざむきてたばこの火をかりたるならん、可憎々々にくむべし/\否々いや/\にくむべからず、われたばこの火をかして美人にえん(烟縁)をむすびし」と戯言たはふれければ、岩居を拍て大に笑ひ、先生あやまて
殺せし時手傳てつだひて共々とも/″\殺したで有うなと故意わざと疑ひのことばまうけられしかば彌十はおもてたゞ否々いや/\私し儀は其節喧嘩けんくわの聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こんな不器量な顔で恥かしい事だと否々いや/\ながら来ましたが、また亭主となれば夫婦の愛情は別で、お父様お母様にも云われない事も相談が出来て、結句頼もしいものだよ、あいとお云いよ/\
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)