北国きたぐに)” の例文
旧字:北國
二人ふたり子供こどもは、その時分じぶんのことをおもしてかがやかした。ほんとうに、さびしい北国きたぐに景色けしきが、ありありとかんできたのです。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
このがらんと晴れ渡つた北国きたぐにの木の香に満ちた空気を吸はう。
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
エニシダが、かの北国きたぐにに美しく咲き匂うのは。
しめやかにこの日もれぬ、北国きたぐにの古き旅籠屋はたごや
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
六月に入ると北国きたぐにから
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
北国きたぐにの雪をつもらせ
抒情小曲集:04 抒情小曲集 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
ひともの幸作こうさくは、うちなかはな相手あいてもなくそのらしていました。北国きたぐには十二がつにもなると、しろゆきもります。
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、おとうさんは、自分じぶん子供こども時分じぶんのことをいろいろとはなされたのでした。このさびしいはるも、北国きたぐに人々ひとびとには、どんなにか一ねんのうちでたのしいときであるかしれない。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
新吉しんきちは、りんごをひろげると、にっこりわらって、そのつめたいあかいくだものを自分じぶんのほおにしあてて、あくまで、北国きたぐにはたけまれた、たかいかおりをかごうとしたのであります。
はととりんご (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして北国きたぐに植物しょくぶつが、かぜや、ゆきたたかうことをわすれたときにれてしまうように、くるしみとたたかってきたひとが、そのくるしみをわすれたときは、やはり、そのひとは、わってしまうでしょう。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)