きほ)” の例文
狐光きつねびかりのその月に、さながら生きて踊るかに、近明ちかあかりしてきほひ舞ふ、かと見れば、また、何か暗く薄かげりして、らぎ止み、らぎ騒立さやだつ。
その夜、明神樣を中心に、平次と呼應して漁つてゐたガラツ八が、遠くの方から狩り出して來る、平次の聲を聞いて、急にきほひ立つたのは無理もありません。
だのに、彼自ら徒らにきほつて、サー/\皆さんこんなエロテイツクシーンを味はつて下さいと許りなぞつて、しつこく呼びかけてゐるところは、却つて逆効果を奏していつもブチ毀しだつた。
吉原百人斬り (新字旧仮名) / 正岡容(著)
つなぐ手は人込のきほひ離される
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
一きは強き狐光きつねびかりのその月に、さながら生きて踊るかに、近明ちかあかりして、きほひ舞ふ、かと見ればまた、何か暗く薄かげりして、揺らぎ止み、らぎ騒立さやだつ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平次はフト迷ひましたが、それでも八五郎のきほひ立つのにさそはれて、金澤町の鶴後屋に乘込みました。
御殿場のここの駅路うまやじ、一夜寝て午夜ごやふけぬれば、まだ深き戸外とのもの闇に、早や目ざめ猟犬かりいぬが群、きほひ起き鎖曳きわき、おどり立ち啼き立ちくに、朝猟の公達か、あな
お篠はカツとなつて、きほひ立つた雌猫めねこのやうに逆毛さかげを立てました。
御殿場のここの駅路うまやぢ、一夜寝て午夜ごやふけぬれば、まだ深き戸外とのもの闇に、早や目ざめ猟犬かりいぬが群、きほひ起き鎖曳きわき、をどり立ち啼き立ちくに、朝猟の公達か、あな
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
利助はきほひ立ちました。
子らよ見よ、われかくかける、かのわらべ、かく今翔る。空はよ、皆飛ぶべし、山河よ越えむに、時なし、またたく間ぞ、なりかぶら矢留やどみの子ら、いざやきほひ、土たたら踏み飛べや。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この父ぞこの日を、子の我と酒めせばか、る荒み靈。思はぬにうちきほころばしにけり。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
この父ぞこの日を、子の我と酒めせばか、る荒み霊。思はぬにうちきほころばしにけり。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
綿うたすをばはさもあれ、提灯屋おいの猫脊が、さてゑがく牡丹に唐獅子、太神宮祭近しと、子供組きほふよろしと、えやうやと受け合ふものから、向ひ屋の浄瑠璃の師匠、越太夫を我は。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
太竹の青き筒、つやつやし筒に、たぷたぷと素水さみづ入れ、硯の水さやけし、墨磨れと、かたへぎ、注ぎてまはりぬ。きほひける何なるならし。幼などちそのかの子らの、筒袖の、その中にしも級長われは。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
群なす馬描き放つきほひさもあらばあれ幽けき馬は堪へて描きけむ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蝉のこゑ湧きはたてどもこの朝やなにかきほひにおとろへにけり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
蝉のこゑ湧きはたてどもこの朝やなにかきほひにおとろへにけり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この軍鷄しやもきほへる見れば頸毛くびげさへ逆羽さかばはららげり風に立つ軍鷄しやも
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
この軍鶏しやもきほへる見れば頸毛くびげさへ逆羽さかばはららげり風に立つ軍鶏しやも
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何の花にほふ草生くさぶぞ角さし入れうつつなく牛のきほひ嗅げるは
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我が暗き人にここだくきこゆるはきほふに似たり言ひて何せむ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
唐寺の日なかの照りに物思ものもはずきほひし夏は眼もみにけり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
駈け駒はきほひ空飛べしづかなる駈けのとまりはひたととまりぬ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
電送歌口授くじゆきほひし今出でて秋草の中にうづくまりぬる
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
きほひ立ちただち砕くる波の穂のしぶきが飛ばす潮の珍珠うづだま
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
きほひ蹴るひと空や、はたはた、ああ、はたはた
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)