まけ)” の例文
旧字:
まあさ、そんな中へ来やあがって、おまけに、空くのを待っていた、と云う口吻くちぶりで、その上横柄だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうしておまけに、阿父さんから十分に訳を言つて、頭をげないばかりにして頼んだのぢやないかね。だから此方こつちには少しも無理は無いはずだのに、貫一があんまり身の程を知らなすぎるよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
主人夫婦が可恐おそろしい猫好きで、その為に奉公人一人給金を出して抱えるほどだから、その手数の掛る事と云ったら無い、おまけに御秘蔵が女猫と来て、産の時などは徹夜よっぴてつきっきり。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
んだことぢや、こんなあやしげなところへござつて、素性すじやうれぬふねるとはふがあるかい。おまけにお前様めえさま五位鷺ごゐさぎ船頭せんどうぢや……たぬきこさへた泥船どろぶねより、まだ/\あぶないのはれたことを。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まけ家中うちぢう無事ぶじなものは一人ひとりかつた。が不思議ふしぎわしだけがたすかりました。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにも、やぶがさぐるまほねらせてはこばせずとことよ。平時いつもならかくぢや、おまけ案山子かゝしどもがこゑいて、おむかひ、と世界せかいなら、第一だいゝち前様めえさまざうかついでほふはあるめえ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)