別懇べつこん)” の例文
何でもないよ、たゞ同藩だつたし、稽古所で私の娘共も、お頼殿と別懇べつこんにしてゐたし、それに私と福島殿とは碁敵ごがたきだつたからな。
うたれ夫にて概略およそわかつたり先月せんげつ初旬はじめ了源寺の所化しよげいつはりたる坊主はまさしく其の願山で有うと何樣なにさま其方の別懇べつこんにする曲者ならん此儀はどうぢやと思ひがけなき事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
莞爾々々にこ/\わらひながら、縮緬雑魚ちりめんざこと、かれい干物ひものと、とろろ昆布こぶ味噌汁みそしるとでぜんした、もの言振いひぶり取做とりなしなんど、如何いかにも、上人しやうにんとは別懇べつこんあひだえて、つれわたし居心ゐごゝろさとつたらない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それも承知で頼み度い。——甲州屋萬兵衞は町人乍ら御奉行とは別懇べつこんの間柄、一日も早く下手人を
かまゆる手續てつゞきに掛らんとて常樂院の別懇べつこん南藏院なんざうゐんいふ江戸芝田しばた町に修驗者しゆけんじやあれば此者方へ常樂院じやうらくゐん添状そへじやうを持せ本多源右衞門ほんだげんゑもんに金子を渡しまづ江戸表へ下しける源右衞門は道中を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さう願へれば、有難いことですが——幸ひ庚申塚かうしんづかには、私の別懇べつこんにして居る家もございます。八五郎親分のお宿をさせて、精一杯の御馳走をさせることにいたしませう」
一私し穀屋平兵衞と別懇べつこんに仕つり候處關宿せきやどざい坂戸村名主庄右衞門方より穀代金請取歸り候ぜん以て手紙にて承知仕つり候ゆゑ六月廿七日の夜權現堂小篠堤に待受まちうけ殺害せつがいいたし金百兩ぬすみ取候に相違さうゐ無御座候依之此段奉申上候以上
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昨夜ゆうべ死んださうだな、——お氣の毒な、——昔は同藩であつたが、少しも別懇べつこんではない」
「若いだけに、壁隣りの建具屋の金次とは、別懇べつこんの間柄なんだよ」