くひしば)” の例文
アンドレイ、エヒミチはうんざりして、長椅子ながいすうへよこになり、倚掛よりかゝりはうついかほけたまゝくひしばつて、とも喋喋べら/\しやべるのを詮方せんかたなくいてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
玉兎つきも仏国西方に傾く頃を南無仏南無仏、恩愛永離おんないえいりの時こそ来つれと、もとゞり斬つて持仏堂ぢぶつに投げこみ、露憎からぬ妻をも捨て、いとをしみたる幼きものをも歯をくひしばつて振り捨てつ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
と、たちまおぼゆるむね苦痛くつうちやう疼痛とうつうたれするどかまもつて、ゑぐるにはあらぬかとおもはるゝほどかれまくら強攫しがき、きりゝとをばくひしばる。いまはじめてかれる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
長椅子ながいすうへよこになつたり、さうしてくひしばつてゐるのであるが、れが段々だん/\度重たびかさなればかさなほどたまらなく、つひには咽喉のどあたりまでがむづ/\してるやうなかんじがしてた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)