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其邊
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そこら
見たら富右衞門殿へ平兵衞と云手紙が
這入てあり
然すれば
穀平殿より富右衞門殿へ送つた手紙が有からは落し
主は富右衞門殿ならん
其邊を
『百
年てさうも
行かんでせうが、二十
年や
其邊は
生き
延びますよ。』ハヾトフは
慰め
顏。『
何んでも
有りませんさ、なあ
同僚。
悲觀ももう
大抵になさるが
可いですぞ。』
言ふまでもなく
馬を
打つ
策は
僕の
頭上に
霰の如く
落ちて來た。
早速金で
傭はれた
其邊の
舟子共幾人は
魚の如く
水底を
潛つて手に
觸れる石といふ石は
悉く
岸に
拾ひ
上られた。
引捕へ三次は
其邊見廻しつゝ
己は元より
怨みもなけりや殺す心はなけれ共頼まれたのが
互ひの不運
斯なる上は
觀念爲ろと又も一太刀
切倒され立んとしても
最う
立れずばツたり其處へ打倒れ流るゝ
血汐を
何にしても餘り
手間取るにより
其邊まで樣子を