傍近そばちか)” の例文
やがて傍近そばちかく寄りて、幾許いかばかり似たるとながむれば、打披うちひらけるはなびらりんとして玉をいたる如く、濃香芬々ふんふんほとばしり、葉色に露気ろき有りて緑鮮みどりあざやかに、さだめ今朝けさりけんとおぼしき花のいきほひなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
女子をなごどもは何時いつしか枕元まくらもとをはづして四邊あたりにはちゝはゝ正雄まさをのあるばかり、いまいふことわかるともわからぬともおぼえねども兄樣にいさん兄樣にいさんちひさこゑべば、なにようかと氷嚢こほりぶくろ片寄かたよせて傍近そばちかるに
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
傍近そばちかく見もし又語りもしたいので。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
二人ふたりさくらをかのぼりていま櫻雲臺をううんだい傍近そばちかときむかふより五六りようくるまかけこゑいさましくしてるを、諸人しよにん立止たちどまりてあれ/\とふ、れば何處いづこ華族樣くわぞくさまなるべき、わかひたるぜに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)