)” の例文
旧字:
舅に就いて学問甚だ通じければしてその美を顕揚せんと一弟子を波羅奈国に遣わし輔相に謀り会資として珍宝を得んとす
秀吉の此の酷いところ冷たいところを味わせられきっていて、そして天下の仕置は何様すべきものだということをしきっている氏郷である。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何事も一生たった一度という「一」の体験さとりに生きている、あの菩薩の生活態度は、まさしくこの間の消息を、雄弁に物語っておると思います。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
そもそも俺のような下品下生げぼんげしょうの男が、実理をさとる手数をいとうて空理をそうなどともがき廻るから間違いが起る。そうだ、帰るのだ、やっと分ったよ。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
茶道に「一」という言葉があり、論語に、「あしたに道を聞かば夕べに死すとも可なり」
青年の思索のために (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「十方の諸仏菩薩集まりて、日と日と、月と月と、星と星と、鏡と鏡とを並べたるが如くなりし時」その中にあって、法華経の行者を守護すべきを誓言したる八幡大菩薩は
すればすなわ同一、不会なれば万別千差、不会なれば事同一家、会すれば則ち万別千差。討つのもよい。忠孝両全の道じゃ。討たぬのもよい。神仏と心を同じゅうするものじゃ。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
これを案じえない三四郎は、現に遠くから、寂滅じゃくめつを文字の上にながめて、夭折ようせつの哀れを、三尺の外に感じたのである。しかも、悲しいはずのところを、快くながめて、美しく感じたのである。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
捧げたる願文がんもんにこそ。光り匂ふのりのため
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
すべからくすべし。2540
そもそも俺のやうな下品下生げぼんげしょうの男が、実理をさとる手数をいとうて空理をさうなどともがき廻るから間違ひが起る。さうだ、帰るのだ、やつと分つたよ。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
しかるに当時最勝を宮中法事の第一とし、天平九年冬十月最勝会を大極殿にひらく、その儀元日に同じというほどで(『元亨釈書』二の「釈道慈伝」)
しかしその「縁」は、たちまちにしてきたり、またたちまちにして去るのです。因縁はすべて「一」です。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
洄の水の巻く力はすさまじいものだが、水の力には陰もあるおもてもある、吸込みもすれば湧上りもする。く水を知る者は水を制することをして水に制せらるることを為さぬ。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
剣刃上に、殺活を論じ、棒頭上に機宜を別つ。わしと、月丸との、この試合をよく考えてみい。人を殺して、生かす、生かして、殺す。二人を較べる時に、おのずから、するところがあろう。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
河南の韓山童乱をし、弥勒仏の出世を名となし、無頼の悪少を誘集し、香をき、を結び、漸々滋蔓じまんして淮西の諸郡を陥れ、それより陳友諒・張士誠等の兵ついで起り
もとより壊空えくうの理をたいして意欲の火炎ほのおを胸に揚げらるることもなく、涅槃ねはんの真をして執着しゅうじゃく彩色いろに心を染まさるることもなければ、堂塔をおこ伽藍がらんを立てんと望まれしにもあらざれど
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昨日の私も私でした。明日の私も私でしょう。しかし、今日の私は昨日の私ではありません。明日の私もまた今日の私ではありません。所詮、世の中のこと、すべては「一」です。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)