仕舞しまつ)” の例文
つれ吉原より返りと見えて此方こなたへ來るゆゑ久兵衞は仕舞しまつたりと思ひながら早足はやあし軒下のきしたへ廻り天水桶てんすゐをけかげへ隱れんとする處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きくのおりき土方どかた手傳てつだひを情夫まぶつなどゝ考違かんちがへをされてもならない、それむかしのゆめがたりさ、なんいまわすれて仕舞しまつげんとも七ともおもされぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「原稿料つて。原稿料はみんな取つて仕舞しまつた」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひとかほいまのとはちがふね、あゝ此母このかゝさんがきてるといが、れが三つのとしんで、おとつさんはるけれど田舍いなか實家じつかかへつて仕舞しまつたからいま祖母おばあさんばかりさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
仕舞しまつたら富右衞門殿の方へ返して來よと云にぞ女房は早々にぜん片付かたづけそんなら一寸ちよつといつて參りましやうと云所へ重四郎は三五郎に何かはなしありとて來りしが此咄しを聞てなんだ富右衞門殿の煙草入たばこいれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
存じてをるに相違は有舞あるまひサア眞直まつすぐ白状はくじやうせよと意外いぐわいいでられ彌十は南無三ばう仕舞しまつたりと思へども然有さあらていにて否々いや/\全く脇差はをさめ物に相違御座りませぬと云ば役人は左右とかくなんぢは不都合ふつがふなる事を申ぞ脇差を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)