仏像ぶつぞう)” の例文
旧字:佛像
そして、店先みせさきって、なるほど、たくさんいろいろな仏像ぶつぞうや、彫刻ちょうこくがあるものだと、一ひととおかざられてあるものにとおしたのです。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これ一箇だけでも時価じか百五十万円はするといわれていた(このダイヤは、あるとうと仏像ぶつぞうからはずした物だといううわさもあった)。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やがて龍太郎は、おいのなかから取りのけておいた一体の仏像ぶつぞうを、部屋へやのすみへおいた。そして燭台しょくだいともしびをその上へ横倒しにのせかける。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひざずつ乗出のりだしたおせんは、ほほがすれすれになるまでに、菊之丞きくのじょうかおのぞんだが、やがてそのは、仏像ぶつぞうのようにすわってった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
私は古い仏像ぶつぞうが見たくなって、上野うえのの帝室博物館の、薄暗くガランとした部屋部屋を、足音を忍ばせて歩き廻っていた。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今度の仏像ぶつぞう御首みぐしをしくじるなんと予感しておおきにショゲていても、何のあやまちも無く仕上って、かえってめられたことなんぞもありました。そう気にすることも無いものサ。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
芸術家の思うがままに仏像ぶつぞうになり、神像となり、武人像にきざまれ、英雄像えいゆうぞうに作られることは、石のために同情するが、生きた人間を父親の暴政ぼうせいに服させることは忍びないのである。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
がんこな人たちがどうしても太子たいしのおさとしにしたがおうとしないで、おてらいたり、仏像ぶつぞうをこわしたり、ぼうさんやあまさんをぶちたたいてひどいめにあわせたり、いろいろな乱暴らんぼうをはたらきました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
仏像ぶつぞうや、陶器類とうきるいや、いろんな骨董品こっとうひんなどが、いっぱい並んでいて、その奥のほうに、年とったがんじょうな男がひかえていました。顔じゅうまっ黒いひげをはやして、目がきらきら光っています。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「そんないいものですといいのですが、どうせつまらないものです。」と、おとこはふろしきづつみをいて、くろくなった仏像ぶつぞうかれわたしました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは元、インドの仏像ぶつぞうのひたいにはめこんであったのを、ある悪い船のりがえぐり取って、盗んでいった。そしてそれをチャン爺さんに売りつけた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すると、たなのなかほどのところに、寸分すんぶんちがわない、仏像ぶつぞういてありました。おとこは、これにまると、はっとおどろきました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふたりが天窓まで這っていってなかを覗くと、ほの暗い電灯のなかに、珍奇ちんき仏像ぶつぞうや、奇怪な大時計や、古めかしいよろいなど、さまざまな骨董品が、ところせまきまでにならんでいた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)