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ぶつぞう
やがて龍太郎は、
笈のなかから取りのけておいた一体の
仏像を、
部屋のすみへおいた。そして
燭台の
灯をその上へ横倒しにのせかける。
一
膝ずつ
乗出したおせんは、
頬がすれすれになるまでに、
菊之丞の
顔を
覗き
込んだが、やがてその
眼は、
仏像のようにすわって
行った。
これは
立派なお
姿だと
感心して、
佛教を
信ずるものも
多く
出來たのですが、そのうち
日本でも
佛像を
作るようになり、それから
百年もたゝない
奈良朝ごろになつては
その
本家である
支那朝鮮の
佛像にも
優るとも
劣らない、
立派な
彫刻が
出來たのであります。