中年ちうねん)” の例文
他愛たわいなくかしらさがつたとふのは、中年ちうねん一個いつこ美髯びぜん紳士しんしまゆにおのづから品位ひんゐのあるのが、寶石はうせきちりばめたあゐ頭巾づきんで、悠然いうぜんあごひげしごいてた。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この歸途かへりに、公園こうゑんしたで、小枝こえだくびをうなだれた、洋傘パラソルたゝんだばかり、バスケツトひとたない、薄色うすいろふくけた、中年ちうねん華奢きやしや西洋婦人せいやうふじんた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると上人しやうにんうなづいて、わし中年ちうねんから仰向あふむけにまくらかぬのがくせで、るにも此儘このまゝではあるけれどもだなか/\えてる、きふ寐着ねつかれないのはお前様まへさま同一おんなしであらう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かうしたは、これからみぞれにも、ゆきにも、いつもいゝものは湯豆府ゆどうふだ。——むかしからもののほんにも、ひとくちにも、おとひゞいたものである。が、……あぢは、中年ちうねんからでないとわからない。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)