両脚りょうあし)” の例文
旧字:兩脚
なかには片腕かたうでられ、また両脚りょうあし切断せつだんされて不具者ふぐしゃになっているのもあります。そして今夜こんやにもにそうなおも病人びょうにんもありました。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、健ちゃんが蛙をつまみあげると、薄青い色をした蛙は、くの字になった両脚りょうあしを強く曲げて逃げようとしました。
(新字新仮名) / 林芙美子(著)
つまりその神経の親方はドコドコまでも両脚りょうあしが生れた時と同様に、チャンとくっ付いたつもりでいるんですね。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それが、見世もののおどりを済まして、寝しなに町の湯へ入る時は、風呂のふちへ両手を掛けて、横に両脚りょうあしでドブンとつかる。そして湯の中でぶくぶくと泳ぐと聞いた。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは例の小悪魔が、両脚りょうあしを鋤先にからみつけて、引き戻しにかかっているのでした。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
忽ち両脚りょうあしを天に冲して蝙蝠こうもりの如く倒しまにぶら下るまでの迅速さ加減は実際驚嘆に値いするもので、彼の手脚は恰も石鉄砲のゴムのように非常な勢いで虚空に伸びて行くかと思うと
金色の死 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
だから私は筒の一方を、両脚りょうあしの間にはさむと、他方のはしを右手にもって、引張った。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さて馬は両脚りょうあしを折ったので、もう立つことができなかった。老人は車輪の間にはさまれていた。車からの落ち方が非常に悪かったので、車全体が胸の上に押しかかるようになっていた。
ルピック氏と姉のエルネスチイヌは、ランプの下で、ひじをついて、一人は新聞を一人は賞与の本を読んでいる。ルピック夫人は編物あみものをし、兄貴のフェリックスは暖炉だんろ両脚りょうあしをあぶっている。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
と見る間に「三!」とさけんで小初は肉体を軽く浮び上らせ不思議な支えの力で空中の一箇所かしょでたゆたい、そこで、見る見る姿勢を逆に落しつつ両脚りょうあしかじのように後へ折り曲げ両手を突き出して
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「しかもあしくさっています。両脚りょうあしともももから腐っています。」
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私は、藁靴わらぐつ穿はいて、合羽かっぱを着た。両脚りょうあしは急に太くなって、頭から三角帽子を被ったので、まるで転がるように身体がまるくなった。
北の冬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
首領かしら両脚りょうあし
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おまえのいのちは、たすけてはやるが、今夜こんや一晩ひとばん、こうして、おれあしあたためさせろ!」といって、はやぶさは両脚りょうあしで、こまどりのからだみつけたのでした。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
びくびくすると、かえって両脚りょうあしがふるえました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)