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不甲斐
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ふがい
ふりがな文庫
“
不甲斐
(
ふがい
)” の例文
或
(
あるい
)
は
不甲斐
(
ふがい
)
ない意久地が無いと思いはしなかッたか……
仮令
(
よし
)
お勢は何とも思わぬにしろ、文三はお勢の手前面目ない、
耻
(
はず
)
かしい……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
兄の
不甲斐
(
ふがい
)
ない性質に対する日頃の不満と、この弟を
凝
(
こご
)
つた
瑩玉
(
えいぎょく
)
のやうに美しくしてゐる生れ付き表現の
途
(
みち
)
を知らない情熱と
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
と、エディ・ホテルの前で、不発論を守って、逃げ行く
不甲斐
(
ふがい
)
なき民衆を呼び戻しているのは例の
咄々
(
とつとつ
)
先生であった。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いや、断じて酒なんかの問題じゃないですよ、近ごろの味方の連中の
不甲斐
(
ふがい
)
なさにあいそがつきてしまったんです」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
其方も最早十八歳ではないか、親の敵の山浦丈太郎が、目と鼻の間に居るのに、何んという
不甲斐
(
ふがい
)
のないことだ。
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
明智は訳の分らぬことを云って、
不甲斐
(
ふがい
)
なくも
渋面
(
じゅうめん
)
を作った。
口惜
(
くや
)
しさに今にも泣き出そうとする子供の表情だ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
不甲斐
(
ふがい
)
ない人間と笑ってください。どうせ今まで何一つ立派なこともしてこなかった体、死んでお
詫
(
わ
)
びしたくとも、やはり死ぬまで一眼お眼に掛りたく……。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
十八に
家出
(
いえで
)
をしたまま、いまだに
行方
(
ゆくえ
)
も
知
(
し
)
れない
伜
(
せがれ
)
千
吉
(
きち
)
の
不甲斐
(
ふがい
)
なさは、
思
(
おも
)
いだす
度毎
(
たびごと
)
にお
岸
(
きし
)
が
涙
(
なみだ
)
の
種
(
たね
)
ではあったが、
踏
(
ふ
)
まれた
草
(
くさ
)
にも
花咲
(
はなさ
)
くたとえの
文字通
(
もじどお
)
り
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ただあの
不甲斐
(
ふがい
)
ない息子が一時も早く迷いの夢から覚めてくれれば、と思っているのだ。あの崇厳な
不尽
(
ふじ
)
ヶ
嶺
(
ね
)
の姿をみれば、少しは気持が落着いてくれるだろう。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
お千代はどういう心持でこの年月自分のような
不甲斐
(
ふがい
)
ない男と一緒に暮して来たのであろう。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
親の
仇敵
(
かたき
)
を目の前に置いて、手さえつけられぬ
不甲斐
(
ふがい
)
なさ、草葉の蔭でご両親様がさぞ口惜しがっておいでであろう……それに、私のお兄様、この世に生きておられるやら
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
咽
(
むせ
)
ぶように、力ない人間の
不甲斐
(
ふがい
)
なさを天に訴えているとしか見えません。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
何か眼の中が熱くなって来て、墓場の上に
紅
(
あか
)
い
粒々
(
つぶつぶ
)
がパッと散って行くほど、僕は僕の
不甲斐
(
ふがい
)
なさを彼女に見せつけられたようだ。で、僕はたまらなくなって素足のまま墓場の道へ走って出た。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
賢君忠臣の
事蹟
(
じせき
)
を
空
(
むな
)
しく地下に埋もれしめる
不甲斐
(
ふがい
)
なさを
慨
(
なげ
)
いて泣いた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
みずからおのれを統御することにおける大多数者の無能力、金銭に左右される無節操、
不甲斐
(
ふがい
)
ない無気力、あらゆる優秀にたいする卑しい
怯懦
(
きょうだ
)
な反発、圧倒的な卑劣などは、反抗を
惹起
(
じゃっき
)
せしめていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
かの女はそう云って、相手に対する影響を見ているうちに
微
(
かす
)
かな怒りさえこみ上げて来た。もしこの上、この母親に
不甲斐
(
ふがい
)
ない様子を見続けるなら
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
文三も暫らくは鼻をも
潰
(
つぶ
)
していたれ、
竟
(
つい
)
には余りのけぶさに堪え兼て
噎返
(
むせかえ
)
る胸を
押鎮
(
おししず
)
めかねた事も有ッたが、イヤイヤこれも自分が
不甲斐
(
ふがい
)
ないからだと、思い返してジット辛抱。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
だが熊は、
不甲斐
(
ふがい
)
なくも、あくまで無抵抗であった。なんて弱虫な猛獣だろう。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だから、やれ、西の空に「ふそう雲」が現れたと云ってはうろたえ、「ほこ星」が光り始めたと云っては、恐ろしがる。それでは、この当世に生きる者として、誠に
不甲斐
(
ふがい
)
のない話ではないか。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「どうもしないが……実に……実に嬉れしい……母親さんの仰しゃる通り、二十三にも成ッてお袋一人さえ過しかねるそんな
不甲斐
(
ふがい
)
ない私をかばって母親さんと議論をなすったと、実に……」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼女は隠し男との遊戯の暇には、その余力を
以
(
もっ
)
て格太郎を愛撫することを忘れないのだった。格太郎にして見れば、この彼女の
僅
(
わずか
)
ばかりのおなさけに、
不甲斐
(
ふがい
)
なくも満足している外はない心持だった。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、布引氏は
不甲斐
(
ふがい
)
なくも、いつしか意識を失ってしまった。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だが、
不甲斐
(
ふがい
)
もなくピストル持つ手がワナワナと震えていた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
甲
常用漢字
中学
部首:⽥
5画
斐
漢検準1級
部首:⽂
12画
“不甲斐”で始まる語句
不甲斐性者