“ゆうゆう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
悠々89.0%
悒々2.3%
優游1.7%
悠悠1.7%
悠遊1.2%
呦々0.6%
幽々0.6%
幽黝0.6%
怒々0.6%
恁々0.6%
悒悒0.6%
融々0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
澄み渡った秋の空に、白い雲が悠々ゆうゆうと遊んでいるのを眺めた時は、一味の旅愁というようなものが骨にまでしみいるのを感じました。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
啄木鳥きつつきの声が樹林に木精こだまし、深山にでもいるような気持がする。暮近い、暗い小道の落葉を踏みながら悒々ゆうゆうと歩いているうちに、急に涙が胸元に突ッかけてきた。
湖畔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あながちにそれを足そうともせず、かえって今は足らぬが当然と思っていたように、かず、騒がず、優游ゆうゆうとして時機の熟するをっていた、その心の長閑のどかさ、ゆるやかさ、今おもい出しても
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その次に車の止まったのは、切崩きりくずした山を背負っている、藁屋根の茶店の前だった。二人の土工はその店へはいると、乳呑児ちのみごをおぶったかみさんを相手に、悠悠ゆうゆうと茶などを飲み始めた。
トロッコ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
例えば在原業平ありわらのなりひら悠遊ゆうゆうしていたころには、おに一口ひとくちいてんけりといったが、大江山の酒顛童子しゅてんどうじに至っては、都に出でて多くの美女を捕え来りしゃくをさせて酒を飲むような習癖があったもののごとく
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
白その声はこんなぞと呦々ゆうゆうと吠えて聞かせた。
惨々さんさん幽々ゆうゆう、なにか霊壇れいだんを吹きめぐる形なきものが鬼哭きこくしてでもいるようだ……
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巨猿の姿も、魚精のかげも幽黝ゆうゆうの底に抹消された。
岩魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
望雲館、大東館の不親切なるに反し、一井旅館は極めて親切にしてくれた。火を落として何物も出来ないとの事、缶詰を破って腹をやし、翌朝八時頃まで怒々ゆうゆうと寝込む。
「隆は矢張り殺されたんです。あの晩、私に催眠薬を飲ました犯人は、貴方あなたにも催眠薬を飲まして、恁々ゆうゆうと隆を殺して、何食わぬ顔をしてすまして居たのです」
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
が、父親の返辞がないので、何心なくふりかえって見ると、眠元朗は悒悒ゆうゆうした眼で何か考えんでいるらしかった。——その眼の表情はいつか母親の眼の上にもあった表情だ。
みずうみ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
明らかに貧しい生活くらしなのにもかかわらず、まことに融々ゆうゆうたるゆたかさが家中にあふれている。なごやかに充ち足りた親子三人の顔付の中に、時としてどこか知的なものがひらめくのも、見逃みのがし難い。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)