悠悠ゆうゆう)” の例文
なにしろ人間の乗っていない飛行機が、操縦者でもあって操縦しているかのように悠悠ゆうゆうと着陸したことであるから、人びとはまるできつねにでもつままれたように不思議がっていた。
人のいない飛行機 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その次に車の止まったのは、切崩きりくずした山を背負っている、藁屋根の茶店の前だった。二人の土工はその店へはいると、乳呑児ちのみごをおぶったかみさんを相手に、悠悠ゆうゆうと茶などを飲み始めた。
トロッコ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
妾が流行界の女王になったらあなたどうするつもり? あんたやはりまえと同じように悠悠ゆうゆうとしているの、妾それをかんがえるとなさけなくなるわ。妾のバッグにいま現金が一万円あるのよ。
女百貨店 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)