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むしあつ
語句 | 割合 |
蒸暑 | 85.2% |
蒸熱 | 11.1% |
溽熱 | 3.7% |
蒸暑い
中にも
凡てが
水の
樣な
月の
光を
浴びて
凉しい
微風が
土に
觸れて
渡つた。おつぎは
臼から
餅を
拗切つて
茗荷の
葉に
乘せて
一つ/\
膳へ
並べた。
で、
立騰り、
煽り
亂れる
蚊遣の
勢を、ものの
數ともしない
工合は、
自若として
火山の
燒石を
獨り
歩行く、
脚の
赤い
蟻のやう、と
譬喩を
思ふも、あゝ、
蒸熱くて
夜が
寢られぬ。
渠はこの
惨憺さと
溽熱さとに
面を
皺めつつ、手荷物の
鞄の
中より何やらん
取出して、
忙々立去らむとしたりしが、たちまち左右を
顧て
観音丸は船体
小にして、下等室は
僅に三十余人を
容れて
肩摩すべく、
甲板は百人を
居きて
余あるべし。されば船室よりは
甲板こそ乗客を置くべき所にして、下等室は一個の
溽熱き
窖廩に過ぎざるなり。