“どぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ドブ
語句割合
78.3%
泥溝15.7%
溝渠1.7%
泥渠0.9%
0.4%
下水0.4%
土富0.4%
土深0.4%
土腐0.4%
堀溝0.4%
泥堀0.4%
溝水0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「さあ、はや参ろう。残っておる者は、われらばかりじゃ」といい捨てたまま、小さいどぶを飛び越えて畦道あぜみちを跡をも見ずに、急いだ。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼の云うところによると、清水谷から弁慶橋へ通じる泥溝どぶのような細い流の中に、春先になると無数のかえるが生れるのだそうである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
カンテラので照らして見ると、下谷したや辺の溝渠どぶあふれたように、薄鼠うすねずみになってだぶだぶしている。その泥水がまた馬鹿に冷たい。指の股が切られるようである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのかへるつて生長せいちやうするうちに、いくくみいくくみこひ泥渠どぶなか成立せいりつする。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
村の衛生係が草鞋ばきの巡査さんとどぶ掃溜はきだめを見てあるく。其巡査さんの細君が赤痢になったと云う評判が立つ。かねや太鼓で念仏ねんぶつとなえてねりあるき、厄病禳やくびょうばらいする村もある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おはぐろ色したどぶ汚水おすいと、其外あらゆる塵芥ごみを残して、先住は出て往った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
天下の城のしゃちほこの代りに、満蒙露西亜ロシアの夕焼雲を横目ににらんで生れたんだ。下水どぶの親方の隅田川に並んでいるのは糞船くそぶねばっかりだろう。那珂なか川の白砂では博多織を漂白さらすんだぞ畜生……。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
武蔵南葛飾みなみかつしか綾瀬あやせ村大字小谷野字土富どぶ耕地
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
常陸ひたち真壁まかべ郡中村大字林字土深どぶ
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
同 同 騰波とば村大字筑波島つくはしま土腐どぶ
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
土佐の片岡かたおか健吉という人は、参謀板垣退助の下で、迅衝隊じんしょうたい半大隊の司令として、やはり御酒頂戴の一人ひとりであるが、大勢おおきおいのあまり本営を出るとすぐ堀溝どぶに落ちたと言って
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
生憎あいにく大風が出て来て、たなご位のを三つ挙げた丈で、小一日暮らし、さて夕刻かえらうとすると、車は風に吹き飛ばされたと見え、脇の泥堀どぶの中へのめツてたです。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
溝水どぶも泡立つ七月の天、およそものその平を得ざれば、なるほど音高き日和下駄響かせて、我からそこを追出しは、とつて十九の血性漢なりし。
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)