溝渠どぶ)” の例文
Sビルディングを中心にして半径一町くらいの円の中の溝渠どぶとか塵芥箱ごみばことか、そのほかちょっと人目につかんようなところは残らず捜してくれたまえ。
五階の窓:02 合作の二 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
カンテラので照らして見ると、下谷したや辺の溝渠どぶあふれたように、薄鼠うすねずみになってだぶだぶしている。その泥水がまた馬鹿に冷たい。指の股が切られるようである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四月頃もまるで梅雨つゆの如く、びしょびしょと毎日の雨で、江戸の市中はいたる処、溝渠どぶが開き、特に、下谷したやからかけ、根岸ねぎし、上野界隈かいわいの低地は水が附いてすねを没し
しきりに溝渠どぶの中などを捜していましたので、急に悪戯ごころが起きてあのような貼紙をして家に帰り、どうも身辺が危険に思えたので職長に相談すると、病院がよかろうとのことで
この辺一帯は溝渠どぶが開いて水が深く、私と松どんとは、じゃぶじゃぶと川の中でも歩くように、探り足をしては進んで行くと、何んだか、頭の頂天の方で、シュッシュッという音がする。