“どろどぶ”の漢字の書き方と例文
語句割合
泥溝100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
参木は泥溝どろどぶに沿って歩いていった。彼はふとお杉のいる街の方を眺めてみた。もう彼は長い間お杉のことを忘れていたのに気がついたのだ。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
煉瓦塀の中の工場から流れ出したアンモニアの臭気がその泥溝どろどぶの上へいっぱいに拡がり漂っていた。泥溝の複雑な臭気の中から特にも激しく。
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
泥溝どろどぶの中へ塵埃ごみがぱッと投げ込まれると、もうお杉の頭からは、たちまち母親の姿は消えてしまって夜ごとに変る客たちの顔が、次から次へと浮んで来た。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
煉瓦の塀に沿うて泥溝どろどぶの流れが淀んでいた。鼠色の水底を白い雲のようなものが静かにくぐって行く。そして水面には襤褓ぼろ切れや木片などが黒くなってところどころに浮いていた。
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
ただその間、彼女は湯を沸かしては水にし、部屋を掃除し続けては泥溝どろどぶを眺めて、ようやく二人から嫌われたのだと気付いたときには、腹立たしさよりも、ぼんやりした。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)