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ぢめん
この
時涙はらはらと
湧いて
来た。
地面に
身を
伏せ、
気味の
悪い
唇ではあるが、
土の
上に
接吻して
大声に
叫んだ。
(さあ
此の
上へ
乗るんです、
土が
柔かで
壊へますから
地面は
歩行かれません。)
營むが
上に
彼れは
本家とて
世の
用ひも
重かるべく
我とて
信用薄きならねど
彼方に
七分の
益ある
時こゝには
僅かに
三分の
利のみ
我が
家繁榮長久の
策は
彼れ
松澤の
無きにしかず
且つは
娘の
容色世に
勝れたれば
是とても
又一つの
金庫芳之助とのえにし
絶えなば
通り
町の
角地面持參の
聟もなきにはあらじ
一擧兩得とはこれなんめりと
思ふ
心は