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しゆつきやう
小六から
坂井の
弟、それから
滿洲、
蒙古、
出京、
安井、——
斯う
談話の
迹を
辿れば
辿る
程、
偶然の
度はあまりに
甚だしかつた。
こんな
會話が
老夫婦の
間に
取り
換はされたのは、
宗助が
出京して
以來一
度や二
度ではなかつた。
實際彼は
叔父の
所へ
來ると、
老人の
眼に
映る
通りの
人間に
見えた。
佐伯から
電報を
受け
取つて、
久し
振りに
出京した
宗助は、
葬式を
濟ました
上、
家の
始末をつけ
樣と
思つて
段々調べて
見ると、
有ると
思つた
財産は
案外に
少なくつて