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奧
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おく
ふりがな文庫
“
奧
(
おく
)” の例文
新字:
奥
しるべの
燈火
(
ともしび
)
かげゆれて、
廊下
(
らうか
)
の
闇
(
やみ
)
に
恐
(
おそ
)
ろしきを
馴
(
な
)
れし
我家
(
わがや
)
の
何
(
なに
)
とも
思
(
おも
)
はず、
侍女
(
こしもと
)
下婢
(
はした
)
が
夢
(
ゆめ
)
の
最中
(
たゞなか
)
に
奧
(
おく
)
さま
書生
(
しよせい
)
の
部屋
(
へや
)
へとおはしぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
奧
(
おく
)
さんの
声
(
こゑ
)
にはもう
何
(
なん
)
となく
張
(
は
)
りがなかつた。そして、そのままひざに
視線
(
しせん
)
を
落
(
おと
)
すと、
思
(
おも
)
ひ出したやうにまた
針
(
はり
)
の
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かし
始
(
はじ
)
めた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
美
(
うつく
)
しい
瀬
(
せ
)
を
立
(
た
)
てて、
玉
(
たま
)
のやうな
礫
(
こいし
)
をおもしに、
獸
(
けもの
)
の
皮
(
かは
)
の
白
(
しろ
)
く
晒
(
さら
)
されたのが
浸
(
ひた
)
してある
山川
(
やまがは
)
に
沿
(
そ
)
うて
行
(
ゆ
)
くと、
山
(
やま
)
の
奧
(
おく
)
にまた
山
(
やま
)
があつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
帶し
段織
(
だんおり
)
小倉の
大縞
(
おほじま
)
なる
馬乘袴
(
うまのりばかま
)
を
穿
(
うが
)
ち鐵骨の扇を持て
腕捲
(
うでまく
)
りなしたる勢ひ仁王の如き有樣ゆゑ番頭久八アツと云て
奧
(
おく
)
へ
逃入
(
にげいら
)
んとするを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ふん、
坊主
(
ばうず
)
か」と
云
(
い
)
つて
閭
(
りよ
)
は
暫
(
しばら
)
く
考
(
かんが
)
へたが、「
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
逢
(
あ
)
つて
見
(
み
)
るから、こゝへ
通
(
とほ
)
せ」と
言
(
い
)
ひ
附
(
つ
)
けた。そして
女房
(
にようばう
)
を
奧
(
おく
)
へ
引
(
ひ
)
つ
込
(
こ
)
ませた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「おい
是
(
これ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
其所
(
そこ
)
へ
置
(
お
)
いて
呉
(
く
)
れ」と
渡
(
わた
)
すと、
清
(
きよ
)
は
妙
(
めう
)
な
顏
(
かほ
)
をして、
不思議
(
ふしぎ
)
さうにそれを
受取
(
うけと
)
つた。
御米
(
およね
)
は
奧
(
おく
)
で
座敷
(
ざしき
)
へ
拂塵
(
はたき
)
を
掛
(
か
)
けてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
すると、まばゆいように
照
(
て
)
り
輝
(
かゞや
)
ぐ
女
(
をんな
)
がゐます。これこそ
赫映姫
(
かぐやひめ
)
に
違
(
ちが
)
ひないと
思
(
おぼ
)
し
召
(
め
)
してお
近寄
(
ちかよ
)
りになると、その
女
(
をんな
)
は
奧
(
おく
)
へ
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
きます。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
別莊
(
べつさう
)
はずつと
其
(
そ
)
の
奧
(
おく
)
の
樹深
(
きぶか
)
い
中
(
なか
)
に
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
るのを、
私
(
わたし
)
は
心
(
こゝろ
)
づもりに
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
總二階
(
そうにかい
)
十疊
(
じふでふ
)
に
八疊
(
はちでふ
)
の
𢌞
(
まは
)
り
縁
(
えん
)
で、
階下
(
かいか
)
は
七間
(
なゝま
)
まで
數
(
かぞ
)
へて
廣
(
ひろ
)
い。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
普
(
ふ
)
通にはそれを「ぎよつとした」と形
容
(
よう
)
するがその言葉があらはす程シヨツクの
烈
(
はげ
)
しいものではなく、何か日頃は
奧
(
おく
)
のほうにしまつてあつて
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
この
洞穴
(
ほらあな
)
は、アルタミラとは
違
(
ちが
)
つて、
丈
(
たけ
)
の
高
(
たか
)
い
奧
(
おく
)
の
深
(
ふか
)
い
穴
(
あな
)
であつて、
兩側
(
りようがは
)
の
壁
(
かべ
)
にやはり
多數
(
たすう
)
の
動物
(
どうぶつ
)
の
繪
(
え
)
を
描
(
か
)
いてあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
ロレ
先
(
ま
)
づ
奧
(
おく
)
に
入
(
い
)
らせられい。……
内室
(
おくがた
)
も一しょに
入
(
い
)
らせられい。……パリスどのにも。……
何
(
いづ
)
れも
亡姫
(
なきひめ
)
の
隨行
(
とも
)
をして
墓場
(
はかば
)
へ
行
(
ゆ
)
く
準備
(
したく
)
をなされ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「平次、八五郎と申したな、いや、御苦勞であつた。伜が
誘拐
(
かどはか
)
されては、家内の恥辱になることぢや、それに
奧
(
おく
)
の悲歎が見て居られない、何分頼むぞ」
銭形平次捕物控:172 神隠し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、
波
(
なみ
)
は
海深
(
かいしん
)
が
次第
(
しだい
)
に
淺
(
あさ
)
くなる
所
(
ところ
)
に
進入
(
しんにゆう
)
すると、それにつれて
高
(
たか
)
さを
増
(
ま
)
し、
又
(
また
)
漏斗
(
じようご
)
のように
奧
(
おく
)
が
次第
(
しだい
)
に
狹
(
せま
)
くなる
所
(
ところ
)
に
進入
(
しんにゆう
)
しても
波
(
なみ
)
の
高
(
たか
)
さが
増
(
ま
)
してくる。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
父
(
とう
)
さんのお
家
(
うち
)
の
裏
(
うら
)
にも、
斯
(
こ
)
のお
百姓
(
ひやくしやう
)
の
神樣
(
かみさま
)
が
祀
(
まつ
)
つてありました。
赤
(
あか
)
い
鳥居
(
とりゐ
)
の
奧
(
おく
)
にある
小
(
ちひ
)
さな
社
(
やしろ
)
がそれです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
たゞ
左右
(
さいう
)
の
斷崕
(
だんがい
)
と
其間
(
そのあひだ
)
を
迂回
(
うね
)
り
流
(
なが
)
るゝ
溪水
(
たにがは
)
ばかりである。
瀬
(
せ
)
を
辿
(
たど
)
つて
奧
(
おく
)
へ
奧
(
おく
)
へと
泝
(
のぼ
)
るに
連
(
つ
)
れて、
此處彼處
(
こゝかしこ
)
、
舊遊
(
きういう
)
の
澱
(
よどみ
)
の
小蔭
(
こかげ
)
にはボズさんの
菅笠
(
すげがさ
)
が
見
(
み
)
えるやうである。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
良因 なにを申すも
陸
(
みち
)
の
奧
(
おく
)
、遠い道中でございますから、旅から旅をさまよひ歩いて、いつ戻られるかはつきりとは判りませんが、先づ白河の關に秋風でも吹きましたら……。
能因法師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
斯
(
か
)
うなると
日頃
(
ひごろ
)
の
探檢氣
(
たんけんき
)
が
生
(
しやう
)
じて、
危險
(
きけん
)
を
思
(
おも
)
はず、
更
(
さら
)
に
奧
(
おく
)
の
方
(
はう
)
へ
進
(
すゝ
)
むと、
這
(
こ
)
は
如何
(
いか
)
に、
足下
(
あしもと
)
に
大々蜈蜙
(
だい/″\むかで
)
がのたくツて
居
(
ゐ
)
る——と
思
(
おも
)
つたのは
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
で、
龕燈
(
がんどう
)
の
火
(
ひ
)
で
照
(
て
)
らして
見
(
み
)
ると
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
葉書
(
はがき
)
の
數
(
かず
)
が五百
枚
(
まい
)
に
達
(
たつ
)
した
時
(
とき
)
、とう/\
教頭
(
けうとう
)
の
奧
(
おく
)
さんが
泣
(
な
)
きだして
夫
(
をつと
)
に
辭職
(
じしよく
)
を
勸
(
すゝ
)
めた。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
この
裾野
(
すその
)
の
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
めながら、だん/\
上
(
のぼ
)
つて
一合目
(
いちごうめ
)
をも
過
(
す
)
ぎ、
海拔
(
かいばつ
)
三千五百尺
(
さんぜんごひやくしやく
)
あたりのところへ
來
(
き
)
ますと、いつしか
草原
(
くさはら
)
も、
人
(
ひと
)
が
植林
(
しよくりん
)
した
林
(
はやし
)
などもなくなつて、ずっと
奧
(
おく
)
ゆかしい
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
私共
(
わたくしども
)
も二三
人宛
(
にんづゝ
)
は
休息時間
(
きうそくじかん
)
を
廢
(
はい
)
しても、
交
(
かわ
)
る/″\
行
(
い
)
つて
働
(
はたら
)
きますぞ、すると
海底戰鬪艇
(
かいていせんたうてい
)
の
竣工
(
しゆんこう
)
する
頃
(
ころ
)
には、
鐵檻
(
てつおり
)
の
車
(
くるま
)
も
出來上
(
できあが
)
つて、
私共
(
わたくしども
)
は
直
(
す
)
ぐ
其
(
そ
)
れに
乘込
(
のりこ
)
んで、
深山
(
しんざん
)
の
奧
(
おく
)
へ
行
(
い
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
自然界
(
しぜんかい
)
の
現象
(
げんしやう
)
を
見
(
み
)
ると、
或
(
あ
)
るものは
非常
(
ひぜう
)
に
美
(
うつく
)
しく、
或
(
あ
)
るものは
非常
(
ひぜう
)
に
恐
(
おそ
)
ろしい。
或
(
あるひ
)
は
神祕的
(
しんぴてき
)
なものがあり、
或
(
あるひ
)
は
怪異
(
くわいい
)
なものがある。
之
(
これ
)
には
何
(
なに
)
か
其
(
その
)
奧
(
おく
)
に
偉大
(
ゐだい
)
な
力
(
ちから
)
が
潜
(
ひそ
)
んで
居
(
ゐ
)
るに
相違
(
さうゐ
)
ない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
女
(
をんな
)
は
市女笠
(
いちめがさ
)
を
脱
(
ぬ
)
いだ
儘
(
まま
)
、わたしに
手
(
て
)
をとられながら、
藪
(
やぶ
)
の
奧
(
おく
)
へはひつて
來
(
き
)
ました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
奧
(
おく
)
の
博勞
(
ばくらう
)
さん
何處
(
どこ
)
で
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けた、廿三
坂
(
さか
)
七つ
目
(
め
)
で」と
愉快
(
ゆくわい
)
な
聲
(
こゑ
)
で
唄
(
うた
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ふくろ
心
(
ごゝろ
)
の
奧
(
おく
)
ぶかに
隱
(
かく
)
るとせしが
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
其
(
そ
)
れより
奧
(
おく
)
に
入
(
い
)
るものは
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
見ゆるは
奧
(
おく
)
の煙のみ
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
りしが
影
(
かげ
)
さへ見ず
成
(
なり
)
し頃やう/\
我
(
われ
)
に歸りつゝ
慌忙
(
あわてゝ
)
奧
(
おく
)
に走り入り今の次第を
斯々
(
かう/\
)
と話すに妻も且
呆
(
あき
)
れ且は驚く計りにて
夫婦
(
ふうふ
)
交
(
かたみ
)
に
面
(
おもて
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
二間
(
ふたま
)
三間
(
みま
)
、
段々
(
だん/\
)
に
次第
(
しだい
)
に
奧
(
おく
)
へ
深
(
ふか
)
く
成
(
な
)
ると……
燈火
(
ともしび
)
の
白
(
しろ
)
き
影
(
かげ
)
ほのかにさして、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ、
颯
(
さつ
)
と
紅
(
くれなゐ
)
の
簾
(
すだれ
)
が
靡
(
なび
)
く、
花
(
はな
)
の
霞
(
かすみ
)
に
入
(
い
)
る
心地
(
こゝち
)
。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
意味
(
いみ
)
で、
狹
(
せま
)
い
路次
(
ろじ
)
の
奧
(
おく
)
にあつた、
木造
(
もくざう
)
の、あのささやかな
洋館
(
やうくわん
)
は
日本麻雀道
(
にほんマアジヤンだう
)
のためには
記念保存物
(
きねんほぞんぶつ
)
たる
價値
(
かち
)
を
持
(
も
)
つてゐるかも
知
(
し
)
れない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「その
積
(
つもり
)
が
好
(
よ
)
くないぢやないか」と
答辯
(
たふべん
)
する
樣
(
やう
)
なものゝ、
此
(
この
)
問題
(
もんだい
)
は
其都度
(
そのつど
)
次第々々
(
しだい/\
)
に
背景
(
はいけい
)
の
奧
(
おく
)
に
遠
(
とほ
)
ざかつて
行
(
ゆ
)
くのであつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
きかねど
晦日
(
みそか
)
に
月
(
つき
)
の
出
(
で
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
十五夜
(
じふごや
)
の
闇
(
やみ
)
もなくてやは
奧
(
おく
)
は
朦朧
(
もうろう
)
のいかなる
手段
(
しゆだん
)
ありしか
新田
(
につた
)
が
畫策
(
くわくさく
)
極
(
きは
)
めて
妙
(
めう
)
にしていさゝかの
融通
(
ゆうづう
)
もならず
示談
(
じだん
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そこで
少女
(
をとめ
)
にふさはしい
髮飾
(
かみかざ
)
りや
衣裳
(
いしよう
)
をさせましたが、
大事
(
だいじ
)
の
子
(
こ
)
ですから、
家
(
いへ
)
の
奧
(
おく
)
にかこつて
外
(
そと
)
へは
少
(
すこ
)
しも
出
(
だ
)
さずに、いよ/\
心
(
こゝろ
)
を
入
(
い
)
れて
養
(
やしな
)
ひました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
……
奧
(
おく
)
よ、
其許
(
そなた
)
は
寢
(
ね
)
る
前
(
まへ
)
に
女
(
むすめ
)
に
逢
(
あ
)
うて、
婿
(
むこ
)
がねパリスどのゝ
深
(
ふか
)
い
心入
(
こゝろいれ
)
の
程
(
ほど
)
を
知
(
し
)
らせて、よいかの、
次
(
つぎ
)
の
水曜日
(
すゐえうび
)
には……いや、
待
(
ま
)
ちゃれ、けふは
何曜日
(
なにえうび
)
ぢゃ?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
中
(
なか
)
にはひると
十數疊敷
(
じゆうすうじようじ
)
きぐらゐの
大
(
おほ
)
きさの
室
(
しつ
)
があつて、その
奧
(
おく
)
へ
進
(
すゝ
)
むと
二三十間
(
にさんじつけん
)
ほどもはひつて
行
(
ゆ
)
かれます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
即
(
すなは
)
ち
海水
(
かいすい
)
が
段々
(
だん/\
)
狹
(
せま
)
くなる
港灣
(
こうわん
)
に
流
(
なが
)
れ
込
(
こ
)
むことになり、
隨
(
したが
)
つて
沖合
(
おきあひ
)
では
高
(
たか
)
さ
僅
(
わづか
)
に
一二尺
(
いちにしやく
)
にすぎなかつた
津浪
(
つなみ
)
も、
港灣
(
こうわん
)
の
奧
(
おく
)
に
於
(
おい
)
ては
數十尺
(
すうじつしやく
)
の
高
(
たか
)
さとなるのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
雀
(
すずめ
)
のお
家
(
うち
)
は
林
(
はやし
)
の
奧
(
おく
)
の
竹
(
たけ
)
やぶにありました。この
雀
(
すずめ
)
には
父
(
とう
)
さまも
母
(
かあ
)
さまもありました。
樂
(
たの
)
しいお
家
(
うち
)
の
前
(
まへ
)
は
竹
(
たけ
)
ばかりで、
青
(
あを
)
いまつすぐな
竹
(
たけ
)
が
澤山
(
たくさん
)
に
竝
(
なら
)
んで
生
(
は
)
えて
居
(
ゐ
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
愉快
(
ゆくわい
)
!
電車
(
でんしや
)
が
景氣
(
けいき
)
よく
走
(
はし
)
り
出
(
だ
)
す、
函嶺
(
はこね
)
諸峰
(
しよほう
)
は
奧
(
おく
)
ゆかしく、
嚴
(
おごそ
)
かに、
面
(
おもて
)
を
壓
(
あつ
)
して
近
(
ちかづ
)
いて
來
(
く
)
る!
輕
(
かる
)
い、
淡々
(
あは/\
)
しい
雲
(
くも
)
が
沖
(
おき
)
なる
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
を
漂
(
たゞよ
)
ふて
居
(
を
)
る、
鴎
(
かもめ
)
が
飛
(
と
)
ぶ、
浪
(
なみ
)
が
碎
(
くだ
)
ける
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
正面
(
しやうめん
)
にはもう
多田院
(
ただのゐん
)
の
馬場先
(
ばばさ
)
きの
松並木
(
まつなみき
)
が
枝
(
えだ
)
を
重
(
かさ
)
ねて、ずうつと
奧
(
おく
)
へ
深
(
ふか
)
くつゞいてゐるのが
見
(
み
)
えた。
松並木
(
まつなみき
)
の
入口
(
いりくち
)
のところに、
川
(
かは
)
を
背
(
せ
)
にして、
殺生
(
せつしやう
)
禁斷
(
きんだん
)
の
碑
(
ひ
)
が
立
(
た
)
つてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
あの
深
(
ふか
)
い
山岳
(
さんがく
)
の
奧
(
おく
)
には
屹度
(
きつと
)
何
(
なに
)
か
怖
(
おそろ
)
しいものが
潛
(
ひそ
)
んでゐるに
相違
(
さうゐ
)
ないと
考
(
かんが
)
へた。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
それでも、
西面南部
(
せいめんなんぶ
)
の二
箇
(
こ
)
の
横穴
(
よこあな
)
は、
大概
(
たいがい
)
發掘
(
はつくつ
)
を
終
(
をは
)
り、
其岩壁
(
そのがんぺき
)
が
欠壞
(
けつくわい
)
して、
奧
(
おく
)
で
貫通
(
くわんつう
)
して
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
が
判明
(
はんめい
)
し、
又
(
また
)
石灰分
(
せきくわいぶん
)
が
岩面
(
がんめん
)
の
龜裂
(
きれつ
)
の
部分
(
ぶぶん
)
から
漏出
(
らうしゆつ
)
して、
小鐘乳石
(
せうしやうにふせき
)
を
垂下
(
すいか
)
して
居
(
ゐ
)
るのを
發見
(
はつけん
)
した。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
『あのね、
奧
(
おく
)
さんに
珍
(
めづ
)
らしいお
客樣
(
きやくさま
)
が……。』と
言
(
い
)
つたまゝ
私
(
わたくし
)
の
方
(
はう
)
に
向直
(
むきなほ
)
り
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
(
奧
(
おく
)
にて
鉦
(
かね
)
の
音
(
ね
)
きこゆ。)おゝ、讀經ももはや始まつたと見ゆるな。
佐々木高綱
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
妻
(
つま
)
はおれがためらふ
内
(
うち
)
に、
何
(
なに
)
か
一聲
(
ひとこえ
)
叫ぶが
早
(
はや
)
いか、
忽
(
たちま
)
ち
藪
(
やぶ
)
の
奧
(
おく
)
へ走り
出
(
だ
)
した。
盜人
(
ぬすびと
)
も
咄嗟
(
とつさ
)
に
飛
(
と
)
びかかつたが、これは
袖
(
そで
)
さへ
捉
(
とら
)
へなかつたらしい。おれは
唯
(
ただ
)
、
幻
(
まぼろし
)
のやうに、さう
云
(
い
)
ふ
景色
(
けしき
)
を
眺
(
なが
)
めてゐた。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この
時
(
とき
)
道翹
(
だうげう
)
が
奧
(
おく
)
の
方
(
はう
)
へ
向
(
む
)
いて、「おい、
拾得
(
じつとく
)
」と
呼
(
よ
)
び
掛
(
か
)
けた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
色鳥
(
いろどり
)
はさしぐむ
路
(
みち
)
の
奧
(
おく
)
ぶかに
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
八谷
(
やたに
)
の
奧
(
おく
)
も
照
(
て
)
らすかな
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
これが
昔
(
むかし
)
の
本陣
(
ほんぢん
)
だと
叔父
(
をぢ
)
が
言
(
い
)
つただゞつ
廣
(
ぴろ
)
い
中土間
(
なかどま
)
を
奧
(
おく
)
へ
拔
(
ぬ
)
けた
小座敷
(
こざしき
)
で、お
平
(
ひら
)
についた
長芋
(
ながいも
)
の
厚切
(
あつぎり
)
も、
大鮪
(
おほまぐろ
)
の
刺身
(
さしみ
)
の
新
(
あたら
)
しさも
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
る。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
奧
(
おく
)
へ通じたれば天忠聞て大膳と
有
(
あら
)
ば
我甥
(
わがをひ
)
なり遠慮に及ばず直に
居間
(
ゐま
)
へ通すべしとの事なれば取次の侍案内に及べば大膳は
吉兵衞
(
きちべゑ
)
左京
(
さきやう
)
の兩人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
背広
(
せびろ
)
を
軽
(
かる
)
いセルのひと衣にぬぎ
換
(
かへ
)
て、青木さんが
奧
(
おく
)
さんと一
緒
(
しよ
)
につましやかな
晩
(
ばん
)
さんを
済
(
す
)
ましたのはもう八
時
(
じ
)
近
(
ちか
)
くであつた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
大路
(
おほぢ
)
の
柳
(
あなぎ
)
月
(
つき
)
のかげに
靡
(
なび
)
いて
力
(
ちから
)
なささうの
塗
(
ぬ
)
り
下駄
(
げた
)
のおと、
村田
(
むらた
)
の二
階
(
かい
)
も
原田
(
はらだ
)
の
奧
(
おく
)
も
憂
(
う
)
きはお
互
(
たが
)
ひの
世
(
よ
)
におもふ
事
(
こと
)
多
(
おほ
)
し。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
奧
部首:⼤
13画
“奧”を含む語句
陸奧
奧樣
奧深
奧行
奧儀
奧方
奧州
奧座敷
奧山
山奧
奧津
奧床
奧齒
奧津城
奧羽地方
大奧
奧所
奧津那藝佐毘古
奧野
奧疎
...