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馬丁
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べつたう
ふりがな文庫
“
馬丁
(
べつたう
)” の例文
唯、前の方へ突進する馬車と……時々
馬丁
(
べつたう
)
の吹き鳴らす
喇叭
(
らつぱ
)
と馬を勵ます聲と……激しく
動搖
(
ゆす
)
れる私達の身體とがあるばかりでした。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬乗
(
うまのり
)
の上手な者が
馬丁
(
べつたう
)
になり、女の手を握る事の好きな男が医者になるやうに、すべての芸能は、その人に
職業
(
しごと
)
を与へて呉れるものだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「私も今晩あたりは、御墨附をお返し申上げられるかと思ひます。恐れ入りますが、
馬丁
(
べつたう
)
の黒助を御呼び下さいますやうに」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「馬車が出ます/\」と、
炉火
(
ろくわ
)
を
擁
(
よう
)
して
踞
(
うづく
)
まりたる
馬丁
(
べつたう
)
の
濁声
(
だみごゑ
)
、闇の
裡
(
うち
)
より響く「吉田行も、大宮行も、今ま
直
(
すぐ
)
と出ますよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
下におりてゐた
馬丁
(
べつたう
)
、これも二人、いづれも大名行列の
奴
(
やつこ
)
に似たやうな揃ひの服装をして、何やら金ぴかの大きな紋章をつけた真黒な円い笠をかぶつてゐた其の姿であつた。
冬の夜がたり
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
負ひて川原へ
下
(
おろ
)
し
壳馬車
(
からばしや
)
にして辛うじて引上げしが道を作り居たる土地の者崖の上より見下して乘り入れたる
馬丁
(
べつたう
)
も強し
下
(
お
)
りぬ客人も大膽やと
賞
(
ほめ
)
るか
譏
(
そし
)
るか聲を發して額に手を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
尋
(
たづ
)
ねに參る途中
馬丁
(
べつたう
)
に
勾引
(
かどはか
)
され源次郎諸方を
尋
(
たづ
)
ねし處猿島河原にて妻が
首
(
くび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
物の五町と歩かないうちに
馬丁
(
べつたう
)
の財布は空つぽになつた。でも、馬は貧乏人と見ると、立停つて動かないので、
馬丁
(
べつたう
)
もとうと善い事を発明した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
馬丁
(
べつたう
)
の黒助は立ち上がつて、番手桶の水をザブリと掛けました。初秋の肌寒い風が、半裸の美女を吹いて、そのまゝ
燻蒸
(
くんじよう
)
する湯氣も匂ひさうです。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
馬車が何處を通るのか、皆目それは私には解りませんでしたが、闇に振る
馬丁
(
べつたう
)
の烈しい鞭の音と、
尋常
(
たゞ
)
ならぬ車の上の人達の樣子とで、賊といふことだけは知れました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
驚かすあまり壽命の藥でもなし
呉々
(
くれ/″\
)
も重ね/\も木曾見物の風流才士は
此
(
こゝ
)
を馬車にて飛ぶべからず同行例の豪傑揃ひなれば一難所一急坂を過る時は拍手して快を呼ぶ
馬丁
(
べつたう
)
ます/\氣を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「それはめでたいの。ゆつくり往つて来るがいゝ、
幸
(
さいはひ
)
乃公
(
おれ
)
の馬もあいてるから、あれに乗つて
往
(
ゆ
)
くとしたらどうぢや、
馬丁
(
べつたう
)
に案内して貰つての。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「あつたよ、御用人にお願する迄も無いや、
馬丁
(
べつたう
)
に知つてるのがあるから頼んで一枚貰つて來た、これだ」
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
父
(
とう
)
さんは
馬丁
(
べつたう
)
の
背中
(
せなか
)
に
負
(
おぶ
)
さつて、
川
(
かは
)
を
越
(
こ
)
しました。その
川
(
かは
)
は
烏川
(
からすがは
)
といふ
川
(
かは
)
だと
聞
(
き
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
いろはなりと云しに
違
(
たが
)
はずだん/\危うくせず京あたりの難所も首尾よく飛せ越えて奈良井へ
着
(
つき
)
しは晝前なり是より
直
(
すぐ
)
に鳥居峠なれば馬車を下りしに
馬丁
(
べつたう
)
は意氣揚々としてドウですお客樣一番鳥居峠を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「え、あの馬をお貸し下さいますか、それに
馬丁
(
べつたう
)
さんまで……まあ、旦那様お有りがたうございます。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
車中の退屈まぎれに、吾儕は
馬丁
(
べつたう
)
の喇叭を借りて戲れに吹いて見たが、そんなことから斯の馬丁も打解けて、
路傍
(
みちばた
)
にある樹木の名、行く先/″\の村落を吾儕に話して聞かせた。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まだ
轡
(
くつわ
)
を放さなかつた
馬丁
(
べつたう
)
の黒助は、張り切つた馬の首の下から必死の聲を絞ります。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女中も
馬丁
(
べつたう
)
も馬も一緒にあとを振りかへつた。追ひかけて来たのは下男の一人で、旦那様の御用だから今一度
邸
(
やしき
)
へ帰つてくれといふのだ。女中はぶつ/\
呟
(
ぼや
)
きながら帰つて来た。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
吾儕を待つて居た馬車は、修善寺から乘せて來たのと同じで、
馬丁
(
べつたう
)
も知つた顏だつた。天城の山の上まで一人前五十錢づゝ。夜のうちに霰が降つたと見えて、乘つて行く
道路
(
みち
)
は白かつた。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬丁
(
べつたう
)
は素知らぬ顔で
外
(
そ
)
つ
方
(
ぽう
)
を向いてゐたが、馬はそこに突立つて一足も前に乗り出さうとしなかつた。で、
馬丁
(
べつたう
)
は無けなしの財布から幾らか
摘
(
つま
)
み出して貧乏人の
掌面
(
てのひら
)
に載つけてやつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
立木の儘枯れた大きな幹が行先の谷々に灰白く
露出
(
あらは
)
れて居た。
馬丁
(
べつたう
)
に聞くと、杉の爲に壓倒された樅の枯木だといふ。この
可畏
(
おそろ
)
しげな樹木の墓地の中を、一人、吾儕の方へ歩いて來る者があつた。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬丁
(
べつたう
)
は葡萄酒の
罎
(
びん
)
を引つ抱へて、鞍の上で大威張に
踏
(
ふ
)
ん
反
(
ぞ
)
りかへつてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
丁
常用漢字
小3
部首:⼀
2画
“馬丁”で始まる語句
馬丁等