飼鳥かひどり)” の例文
「さればにてさふらふ別段べつだんこれまをしてきみすゝたてまつるほどのものもさふらはねど不圖ふと思附おもひつきたるは飼鳥かひどりさふらふあれあそばして御覽候ごらんさふらへ」といふ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
筑紫の、はじ木原こばら、木原には夕光ゆふかげ満ち、夕光に鷽鳥うそどり啼けり。宰府道、ここの木原に、飼鳥かひどりの、よき鷽鳥うそどりを、もつあらしも。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かゝ風聞ふうぶんきこえなば、一家中いつかちうふにおよばず、領分内りやうぶんない百姓ひやくしやうまでみななんぢかんがみて、飼鳥かひどり遊戲あそび自然しぜんむべし。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いかにも堪難たへがたさふらふ飼鳥かひどりをおすゝまをせしはわたくし一世いつせい過失あやまち御宥免ごいうめんありたし」と只管ひたすらにわびたてまつりぬ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其夜そのよかり立去たちさらず、にかはれた飼鳥かひどりのやう、よくなつき、けて民子たみこしたつて、ぜんかたはらはねやすめるやうになると、はじめに生命いのちがけおそろしくおもひしだけ、可愛かはいさは一入ひとしほなり。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)