こゑ)” の例文
ここにあめ佐具賣さぐめ一三、この鳥の言ふことを聞きて、天若日子に語りて、「この鳥はその鳴くこゑいと惡し。かれみづから射たまへ」
巫子かんなぎ祝詞のつとをはり、湯の沸上わきあがるにおよびて、吉祥よきさがには釜の鳴るこゑ牛のゆるが如し。あしきは釜に音なし。是を吉備津の御釜祓みかまばらひといふ。
さきはひのいかなるひと黒髪くろかみしろくなるまでいもこゑく 〔巻七・一四一一〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
北には身延嶽みのぶたけ天をいただき、南には鷹取たかとりたけ雲につづき、東には天子てんし嶽日たけひとたけをなじ、西には又、峨々がゝとして大山つづきて白根しらねたけにわたれり。さるのなくこゑてんに響き、蝉のさえづり地にみてり。
をんなこゑ調しらべにしたがひて……。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さる人はかしこくとも、さるわざは賢からじ。こがね六三ななのたからのつかさなり。土にうもれては霊泉れいせんたたへ、不浄を除き、たへなるこゑかくせり。
堂のうしろの方に、仏法ぶつぱん々々とこゑちかく聞ゆるに、貴人さかづきをあげ給ひて、れいの鳥絶えて鳴かざりしに、今夜こよひ酒宴しゆえん一一八はえあるぞ。紹巴ぜうは一一九いかにとおほせ給ふ。