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めんぼう
ふりがな文庫
“
面貌
(
めんぼう
)” の例文
面貌
(
めんぼう
)
ほとんど生色なく、今にも
僵
(
たお
)
れんずばかりなるが、ものに激したる
状
(
さま
)
なるにぞ、介添は
心許
(
こころもと
)
なげに、つい居て着換を捧げながら
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
月は西に白けて、大空は
黎明
(
れいめい
)
の気を見せて来た。そこに天地が口を開けたやうな一種いふべからざる神厳と空虚の
面貌
(
めんぼう
)
の寸時がある。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ただしそれも、犬の頭がにわかに大きくなり、
獅子
(
しし
)
の
面貌
(
めんぼう
)
となって影のうちにおぼろに浮き出してくる、その日までのことである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
体格が雄偉で、
面貌
(
めんぼう
)
の柔和な少年で、多く語らずに、始終微笑を帯びて玄機の挙止を凝視していた。年は玄機より
少
(
わか
)
いのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
青筋出して
肝癪
(
かんしゃく
)
起した二葉亭の
面貌
(
めんぼう
)
が文面及び筆勢にありあり彷彿して、当時の二葉亭のイライラした極度の興奮が想像された。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
然るに歌麿はまづ
橢円形
(
だえんけい
)
の顔を作り
出
(
いだ
)
してその形式的なる
面貌
(
めんぼう
)
の
中
(
うち
)
にも往々
生々
(
いきいき
)
したる精神を
挿入
(
そうにゅう
)
し得たるは従来の浮世絵画中かつて見ざる所なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
書は人の性質をあらわし、書を検してその人の気質のいくぶんを知ることあるは、あたかも
面貌
(
めんぼう
)
につきて、その人の性質を判ずることを得ると同様である。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
一九一一年二月の地震で、パミールの中部バルダン渓谷は、一夜にしてその
面貌
(
めんぼう
)
を改めてしまった。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
雑居房の四人の癩病人は、運動の時間が来るとぞろぞろと広い庭の
日向
(
ひなた
)
へ出て行った。太田はその時始めて、彼らの一々の
面貌
(
めんぼう
)
をはっきり見ることができたのである。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
「苦るしいけれども今に面白くなるよ」と彼の
眼瞼
(
まぶた
)
を
垂
(
た
)
れた黒光りのする
面貌
(
めんぼう
)
が語っていた。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
どういう文字を
宛
(
あ
)
てるのか
判
(
わか
)
らないし、聞きかえすべきものでもなかったであろう。ただ阿賀妻は、彼の記憶には、そういう姓名はなかった。見覚えのある
面貌
(
めんぼう
)
でもなかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
不敵無類の
面貌
(
めんぼう
)
をしていましたものでしたから、人を見て術を施すにさとい右門は、はて、いかにして口をあかしたものかというように、ややしばしためらっていたようでしたが
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
草
蓬々
(
ぼうぼう
)
たる丸の内の原っぱが、たちどころに
煉瓦
(
れんが
)
造りのビル街と変わり、日露戦争後の急速な資本主義の発展とともに、欧風文明もようやくこの都会の
面貌
(
めんぼう
)
を一新しようとしていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そういう無意識的な二重の不断の状態は、日常生活が眠りに入って、スフィンクスの眼が、「存在」の多様な
面貌
(
めんぼう
)
が、睡眠の
深淵
(
しんえん
)
から浮かび上ってくる
眩迷
(
げんめい
)
の瞬間に、よく現われてきた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
頭の髪赤くちゞみて、
面貌
(
めんぼう
)
人に非ず猿にも非ず、手足は人の如くにして、全身に毛を生じたり。西村は天性剛なる男なれば、更に驚くこと無く、
汝
(
なんじ
)
は何処に住む者ぞと問ひけれども、敢て答へず。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
面貌
(
めんぼう
)
、姿態の如きものであろうか。宿命なり。いたしかたなし。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
外の光線で見たなら、
面貌
(
めんぼう
)
まッ
蒼
(
さお
)
に変っていたかもしれぬ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余輩のごときも、初面接の人に対しては、その
面貌
(
めんぼう
)
によって精神のいくぶんかを察知することができる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
その
面貌
(
めんぼう
)
の無邪気なる、その謂うことの淡泊なる、要するに看護員は、他の誘惑に動かされて、胸中その是非に迷うがごとき、さる心弱きものにはあらず、何等か固き信仰ありて
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
役者似顔絵を見るにその
面貌
(
めんぼう
)
と
衣裳
(
いしょう
)
の線を描ける筆力は
遒勁
(
しゅうけい
)
なり。その挙動と表情とは欧洲人の眼には聊か誇張に過ぐるの
嫌
(
きら
)
ひあれどこは日本演劇の正確なる描写ならざるべからず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
眼に見えない無数の虫が、生ありしものを
噛
(
か
)
み
穿
(
うが
)
って、
塵埃
(
じんあい
)
に帰せしめていた……。しかもそれらの戦いの静寂さ!……おう、自然の平和よ、生の痛ましい残忍な
面貌
(
めんぼう
)
を
覆
(
おお
)
ってる悲しい仮面よ!
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この間勿論我が国でも、支那事変が遂に世界戦争の
面貌
(
めんぼう
)
を
現
(
あらわ
)
して来て「研究どころの騒ぎではなく」なっていたのであるが、英米側にとってみれば、それこそ日本の立場どころではなかったのである。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
家が焼けかかって幸いに消しとめたる場合には、仮に小さき
茅屋
(
ぼうおく
)
の形を造ってこれを焼く。そのことを火返しと申している。また、屋根瓦の中に
獅子
(
しし
)
の
面貌
(
めんぼう
)
をなせるものがある。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
日本人の
面貌
(
めんぼう
)
は神楽に
用
(
もちう
)
る面によって代表されていると言った人がある。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“面貌”の意味
《名詞》
面 貌(めんぼう、めんみょう)
顔つき。容貌。
(出典:Wiktionary)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
貌
常用漢字
中学
部首:⾘
14画
“面貌”で始まる語句
面貌痩