面識めんしき)” の例文
一は田中正造翁に面識めんしきなく谷中村やなかむらを見ないからでもあろうが、余は従来じゅうらい谷中村民のあまり執念深いのを寧ろ気障きざに思うて居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
したがって一面識めんしきだもなき人に自分の生涯しょうがいを左右する職業の選定を相談しても、けっして満足な返事は得られぬと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
すてていまだ一面識めんしきならぬ他の女と道連みちづれになり人の爲にころさるゝ者が有べきやシテ梅は如何いかゞせしぞ汝公儀の役人をいつは重惡者ぢうあくものめとしかられしにぞ憑司は今更大息おほいきつき頭を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ことわたくし櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさとは面識めんしき間柄あひだがらで、數年すねんぜんことわたくしがまだ今回こんくわい漫遊まんゆうのぼらぬ以前いぜん、あるなつ北海道旅行ほくかいだうりよかうくわだてたとき横濱よこはまから凾館はこだておもむ滊船きせんなかで、はからずも大佐たいさ對面たいめんしたことがある。
どもをやしな主人あるじもこゝにきたて、したがへたる料理人にしたる魚菜ぎよさい調味ていみさせてさらにえんひらく。是主人このあるじ俗中ぞくちゆうさしはさんつね文人ぶんじん推慕したふゆゑに、この日もこゝにきたりて面識めんしきするを岩居がんきよやくせしとぞ。
どもをやしな主人あるじもこゝにきたて、したがへたる料理人にしたる魚菜ぎよさい調味ていみさせてさらにえんひらく。是主人このあるじ俗中ぞくちゆうさしはさんつね文人ぶんじん推慕したふゆゑに、この日もこゝにきたりて面識めんしきするを岩居がんきよやくせしとぞ。