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阿
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おもね
ふりがな文庫
“
阿
(
おもね
)” の例文
息子の亘は父がそんな事を思ひ悩んで居るとは知らず、親に
阿
(
おもね
)
る小供の技巧の、おづ/\するやうな甘へた口調で、猶も問を進めて行つた。
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
権勢にも富貴にも
阿
(
おもね
)
らぬ境遇の気楽さは食祿と家名に縛られて、牢獄の中にいる大名に比べて、どちらが本当の幸せであろう。
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
本当に求道心が燃えて居れば、自他に
阿
(
おもね
)
る心を焼きつくして、素朴な心にかえることが出来る。素朴な心こそは、仁に近づく最善の道なのだ。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
即座に母が
合槌
(
あひづち
)
を打つた。下男も父母に
阿
(
おもね
)
つた眼で私を見た。私は意地にも万難を排し他日必ず雪子と結婚しようと思つた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「それあそうさ、明日になつて、牛込の叔父さんの処へ行く約束があるんだよ。叔父さんから受取る金があるんだよ。」などと巧みに女に
阿
(
おもね
)
つた。
小川の流れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
その一月、「不同調」という雑誌に私は作品を発表したが、その流行に
阿
(
おもね
)
るような作品で、醜を曝したからである。
澪標
(新字新仮名)
/
外村繁
(著)
偽善者とそうでない者との区別は、阿諛的であるかどうかにあるということができるであろう。ひとに
阿
(
おもね
)
ることは間違ったことを言うよりも
遥
(
はる
)
かに悪い。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
此一首は頗る大家の気象に乏しく、蘭軒はその好む所に
阿
(
おもね
)
つて、語に分寸あること能はざるに至つたと見える。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
四方の小地主や地侍は、招かずして、豊田の門に馬を
繋
(
つな
)
ぎに来、そろそろ、将門の耳には、甘い世辞や、彼をもちあげる
阿
(
おもね
)
りが、集まりかけているのである。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
僅
(
わず
)
かにそこから
這
(
は
)
い出ると、べそをかきながら又匍匐を続けて行く。このいたいけな姿を憐れむのを自己に
阿
(
おもね
)
るものとのみ云い退けられるものであろうか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
人に
阿
(
おもね
)
ったり、主人に取入ったりするようなところが少しもなかった。誰に対しても、一対一で向っていた。それだけに頑固で人に譲らぬところがあったけれども。
おじさんの話
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
『大日本史』の大業を成就して、大義名分を明らかにし、学問を曲げてまで世に
阿
(
おもね
)
るものもある徳川時代にあってとにもかくにも歴史の精神を樹立したのは水戸であった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「勅勘を受けた人というものは、自由に普通の人らしく生活することができないものなのだ。風流な家に住んで現代を
誹謗
(
ひぼう
)
して
鹿
(
しか
)
を馬だと言おうとする人間に
阿
(
おもね
)
る者がある」
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
自から
阿
(
おもね
)
らず、自から曲げず、
己
(
おのれ
)
に誇ることなく、人を
卑
(
いやし
)
むことなく、
夙夜
(
しゅくや
)
業を勉めて、天の我にあたうるところのものを
慢
(
まん
)
にすることなくんば、あにただ社中の
慶
(
よろこび
)
のみならん。
中元祝酒の記
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
人に使われつけている身が主筋に対して、何ぞの愛嬌に、身うちのことを手柄のように暴露して、
諂
(
へつら
)
い
阿
(
おもね
)
る例は世間によくあり勝ちです。嘉六はいまそれをやっているのでしょうか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして、相変らず揉み手をしながら、
阿
(
おもね
)
るような鈍い柔らか味のある調子で云った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
日本に媚びず露国に
阿
(
おもね
)
らず、其他何れの国のお世話も差し出も願はず、小さき半島の自然に満足して気楽なる生涯を送らんとするものがあるならば、我倫理的帝国主義者は如何なる口実と権利を以て
文明の強売:(断じて不正なり)
(新字旧仮名)
/
大石誠之助
(著)
わたくしが抽斎の心胸を開発して、劇の趣味を解するに至らしめた人々に敬意を表して、これを学者、医者、画家の次に数えるのは、好む所に
阿
(
おもね
)
るのではない。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
筆蹟もよく、四角な文字も読めるという噂ですが、武芸は大したことがないらしく、人に
阿
(
おもね
)
らぬ武骨さを買われて、
界隈
(
かいわい
)
の評判はそんなに悪い方ではありません。
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ま。くちおしい限りではございませぬか。万乗の大君をして、さまで幕府の
鼻息
(
びそく
)
に
阿
(
おもね
)
るような策をおすすめ申さいでも、毎日の公卿集議には、もそッとほかによいお智恵も」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
決して彼女の習慣に
阿
(
おもね
)
らぬぞ——私は、そんなことを思つた。
環魚洞風景
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
などという
阿
(
おもね
)
りは、おかしくもあり、苦々しくも思われて、嘘にもいえない頼房であった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あえて世道人心を
裨益
(
ひえき
)
しようなどという、大それた
自惚
(
うぬぼれ
)
は持っていないまでも、娯楽に重点を置き過ぎ、読者の好奇心に
阿
(
おもね
)
って、人の子を毒するようなことでは、遅かれ早かれ
随筆銭形平次:17 捕物小説というもの
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
低俗な趣味に
阿
(
おもね
)
りきれない、絶大な自尊心があったためではなかったであろうか。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
「いや。木下がいかん。多勢してお附添いしては、眼につくなどと、殿に
阿
(
おもね
)
って」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒津は男爵に
阿
(
おもね
)
るように、窓から夕暮の景色を眺め乍ら、こう言います。
判官三郎の正体
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
つまり秀郷は尊大に構え、貞盛はそれに
阿
(
おもね
)
るのほかはない。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“阿”の解説
阿(あ)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
阿
漢検準1級
部首:⾩
8画
“阿”を含む語句
阿母
阿爺
阿父
阿房
南無阿弥陀仏
阿諛
阿波
阿兄
阿呆
阿片
阿父様
阿媽
阿婆
四阿
阿婆摺
阿魔
阿修羅
阿闍梨
南無阿彌陀佛
阿部川町
...