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鋪道
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ほどう
ふりがな文庫
“
鋪道
(
ほどう
)” の例文
私は綺麗な
鋪道
(
ほどう
)
の上に下りた。だが何となく刑務所の仕事場を思い出させるようなコンクリートの路面だった。私は
厭
(
いや
)
な気がした。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とある陳列箱の中の小さな水族館では、茎のような細い
鮎
(
あゆ
)
が、何尾も泳いでいた。銀座の
鋪道
(
ほどう
)
が河になったら面白いだろうと思う。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ストリート・ガールであった、
鋪道
(
ほどう
)
のアヴァンチュールにかけては華やかな近代娘の典型であった四家フユ子が、赤い
梯子
(
はしご
)
を登ったのだ。
職業婦人気質
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
と見ると、その電車通りに面した二階の窓の一つが開かれていて、それが細長い光りを暗い
鋪道
(
ほどう
)
の上にくっきりと落していた。
旅の絵
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
僕は焼けのこった東京の街の
爽
(
さわ
)
やかな
鈴懸
(
すずかけ
)
の朝の
鋪道
(
ほどう
)
を歩いた。鈴懸は朝ごとに僕の眼をみどりに染め、僕の眼は涼しげなひとの眼にそそいだ。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
▼ もっと見る
日曜日の開演時刻にこの劇場の前を通って見ると大変な人の群が場前の
鋪道
(
ほどう
)
を埋めて車道まではみ出している。
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
小
(
ちい
)
さな
白
(
しろ
)
い
花
(
はな
)
が、
草
(
くさ
)
に
咲
(
さ
)
いたのであります。ガラス
窓
(
まど
)
のうちで、
仕事
(
しごと
)
をしている
人
(
ひと
)
にもまた、この
鋪道
(
ほどう
)
を
通
(
とお
)
る
人々
(
ひとびと
)
にも、おそらく、この
花
(
はな
)
は
知
(
し
)
られなかったでしょう。
青い草
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
唸
(
うな
)
りをあげて、
鋪道
(
ほどう
)
の
紙屑
(
かみくず
)
やボロきれをさらって行き、直角に突き出された横文字の看板が、
二十日鼠
(
はつかねずみ
)
のようなキーキーした音をたてている——夕方からは、それに、雨もまじって
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
待ちあぐんだ人たちと、押合いながら降りる人たちとの
込合
(
こみあ
)
う間を、
漸
(
ようや
)
く抜け出した一人の女が、
鋪道
(
ほどう
)
に立っている中島の側を行過ぎようとして、その顔を見るや、「アラ中島さん。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いまでも
憶
(
おも
)
いだす、なつかしい
路
(
みち
)
は、合宿裏の
花壇
(
かだん
)
にかこまれた
鋪道
(
ほどう
)
のことです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
尾張町から有楽町へゆく
鋪道
(
ほどう
)
の上で自分は「奎吉!」を繰り返した。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
これがR事件の最初の
一頁
(
ページ
)
なのであるが、それは白昼華やかな銀座街の
鋪道
(
ほどう
)
の上で起った
妙齢
(
みょうれい
)
の婦人の怪死事件から始まる。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
銀座の
鋪道
(
ほどう
)
はなまめかしくどろどろに暑い。太陽は縦横無尽だ。新聞には、株で大富豪になった鈴木某女の病気が出ている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
だが
殆
(
ほとん
)
ど毎朝のようにここで煙草を買う。僕は煙草をポケットに入れてロータリーを渡る。
鋪道
(
ほどう
)
を歩いて行く。鋪道にあふれる朝の鎮魂歌……。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
オルダス・ハクスレーの短篇『若きアルキメデス』には百姓の子のギドーが木片の燃えさしで
鋪道
(
ほどう
)
の石の上に図形を描いてこの定理の証明をやっている場面が出て来るのである。
ピタゴラスと豆
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この風の中には、遠い遠い
憶
(
おも
)
い出があるようだ。
鋪道
(
ほどう
)
は灯の川だ。人の洪水だ。瀬戸物屋の前には、うらぶれた大学生が、計算器を売っていた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
生れてからこの方、私はこんなに
愕
(
おどろ
)
いたことは初めてだった。悲鳴をあげると共に、私は愕きのあまり、
鋪道
(
ほどう
)
のうえに、腰をぬかしてしまった。
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
影のような女だったのだが、彼もまた女にとって影のような男にすぎなかったのだ。影と影はひっそりとした足どりで
濠端
(
ほりばた
)
に添う
鋪道
(
ほどう
)
を歩いていた。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
今は
魘
(
うな
)
されるような感覚ばかりが彼をとりまいているのだった。刻々にふるえる佗しいものが会社を出て
鋪道
(
ほどう
)
を歩きながらも、彼に附きまとっていた。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
雨はあがっていたが、
梅雨空
(
つゆぞら
)
の雲は重い。彼は、ふところ手をしたまま、ぶらぶらと
鋪道
(
ほどう
)
のうえを歩いてゆく。
脳の中の麗人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鋪道
(
ほどう
)
の上に華々しく放り出して、ものも
得
(
え
)
いわず、いきなりわたくしの小さい身体に抱きついたものである。
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そう云い捨てて、向側の
鋪道
(
ほどう
)
へ走り去った。突然、それは彼にとって、あまりに突然だったのだが……。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
凍りつくような
空
(
から
)
っ風が、
鋪道
(
ほどう
)
の上をひゅーんというような
唸
(
うな
)
り声をあげて
滑
(
すべ
)
ってゆく。もう夜はいたく
更
(
ふ
)
けていた。遠くに中華そばやの流してゆく笛の音が聞える。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ふと、その青空から現れて来たように、向うの
鋪道
(
ほどう
)
に友人が立っていた。先日、彼の家に
駈
(
か
)
けつけてくれた、その友人は、一
瞥
(
べつ
)
で彼のなかのすべてを見てとったようだった。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
鋪道
(
ほどう
)
には、
露店
(
ろてん
)
の喰べ物店が一杯に出て、しきりに奇妙な売声をはりあげて、客を呼んでいた。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
くだらないものが一杯充満して散乱する僕の全存在、それが一つ一つ気にかかる。教室で誰かが誰かと話をしている。人は僕のことを
喋
(
しゃべ
)
っているのかしら。向側の
鋪道
(
ほどう
)
を人間が歩いている。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
鋪道
(
ほどう
)
のはしに小さな台を立て、そのうえに、台からはみだしそうな、長さ二尺の計算尺を一本よこたえ、それからピンポンのバットぐらいもある大きな虫めがねを一個おき
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
銀行の角でバスを降りると、彼はずぶ濡れの
鋪道
(
ほどう
)
を電車駅の方へ歩いた。雨に痛めつけられた人々がホームにぼんやり立並んでいた。次の停留場で電車を降りると、袋路の方は真暗であった。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
緑あざやかな葉桜の並木、白い小石を敷きつめた
鋪道
(
ほどう
)
、両側にうちつづいた思い思いの
塀
(
へい
)
、いつもは人影とてほとんど見られない静かな住宅区の通りであったが、今日ばかりはそうでなかった。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“鋪道”の意味
《名詞》
鋪 道(ほどう)
舗道と同義。
(出典:Wiktionary)
鋪
漢検準1級
部首:⾦
15画
道
常用漢字
小2
部首:⾡
12画
“鋪”で始まる語句
鋪石
鋪
鋪装
鋪石道
鋪板
鋪床
鋪甃
鋪甎
鋪設
鋪路