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鉄桶
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てっとう
ふりがな文庫
“
鉄桶
(
てっとう
)” の例文
旧字:
鐵桶
夷陵の城は
桶
(
おけ
)
の如く敵勢に囲まれている。誰かその
鉄桶
(
てっとう
)
の中へ入って、城中の甘寧と聯絡をとる勇士はないか——と周瑜がいうと
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翌る六月一日、八丁堀組屋敷は早暁から門外を堅め、与力同心組子の数を尽して、真に
鉄桶
(
てっとう
)
の人垣を作りました。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ある建具は
破
(
やぶ
)
れた此の野中の一つ家と云った様な小さな
草葺
(
くさぶき
)
を目がけて日暮れ
方
(
がた
)
から
鉄桶
(
てっとう
)
の如く
包囲
(
ほうい
)
しつゝずうと
押寄
(
おしよ
)
せて来る武蔵野の
寒
(
さむさ
)
を
骨身
(
ほねみ
)
にしみて
味
(
あじ
)
わった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
すでに彼の四方は
鉄桶
(
てっとう
)
のごとき兵士で取り囲まれていた。その中には、顔もよく知っている副官陸謙の姿も見える。林冲は、それへ向って
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこには、佐々方の諸将が、
瀕死
(
ひんし
)
の孤城をとりつめて、水ももらさぬ
鉄桶
(
てっとう
)
の陣を作っていた。当然、一角に激戦が起った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
関羽は、矢倉へ
上
(
のぼ
)
った。そして古城の外をながめた。愕くべし満地の山川ことごとく呉旗呉兵と化している。いわゆる蟻も通さぬ
鉄桶
(
てっとう
)
の囲いである。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あだかも四面
鉄桶
(
てっとう
)
の乱軍を駆けくずし、その悉くを槍にかけて、宙に大地に、突き投げ突き伏せて
熄
(
や
)
まざるかのような大演技を演じて見せたのである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すでに本能寺は、敵の
鉄桶
(
てっとう
)
の内であり、信長の一身を、絶望のほかなきものと、春長軒
父子
(
おやこ
)
から聞いて、信忠は
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄弟のまわりは敵兵の
鉄桶
(
てっとう
)
と
化
(
な
)
っている。無数の槍と
刃
(
やいば
)
のしぶきをかぶって、土屋兄弟は、華々しい死を果した。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほか遊撃隊の五百、三百、あるいは百ぐらいな侍によってなる、いわゆる無数な小隊の
鉄桶
(
てっとう
)
だった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
万寿の
喉
(
のど
)
に短刀を
擬
(
ぎ
)
しながら、あたりを
睥睨
(
へいげい
)
している異様な敵人のまわりには——文字どおり
甲冑
(
かっちゅう
)
の「
鉄桶
(
てっとう
)
」ができて——それも藤吉郎の手もとと
眼
(
まな
)
ざしを恐れてか
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、多勢に無勢、無念っ——の声は敢えなく
鉄桶
(
てっとう
)
の敵に
隔
(
へだ
)
てられてしまった。三河守は、怒れる眼に血をそそいで、いまはこれまでと、見えたが、血路に天を仰いで
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
孟獲は胆を消して、渓流を跳び、沢を駈け、さながら美しき猛獣が最期を知るときのように逃げまわったが、すでに四山は蜀兵の
鉄桶
(
てっとう
)
と化し、
遁
(
のが
)
るべくもない有様であった。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とばかり袁紹のまわりには、旗本の面々が、
鉄桶
(
てっとう
)
の如く集まって、これを守り固めるやら
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諏訪飛騨守
(
すわひだのかみ
)
、
御牧
(
みまき
)
三左衛門、荒木山城守、
四方田但馬守
(
しほうでんたじまのかみ
)
、村上
和泉守
(
いずみのかみ
)
、
三宅
(
みやけ
)
式部、そのほか幹部たちの
夥
(
おびただ
)
しい
甲冑
(
かっちゅう
)
の影が幾重にも光秀を囲んで、
鉄桶
(
てっとう
)
のごときものを作っていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「京の内外、
鉄桶
(
てっとう
)
のごときこの警戒には、さしも
企
(
たく
)
んでいた残党どもも、ついに手も足も出せずに終ったものとみえる。したがまだ、あす、あさって、くれぐれお抜かりなきように」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし将監は、死に物狂いに血路をひらき、遂に、
鉄桶
(
てっとう
)
から脱出した。そして二里ほど
奔
(
はし
)
ると、かねて
諜
(
しめ
)
し合わせておいた佐久間安政の軍が昨夜から野営して待機しているのと出会った。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三成の軍は、もう
鉄桶
(
てっとう
)
の如く、細川家をとり巻いて、
鬨
(
とき
)
の声をあげ初めた。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また
東南
(
たつみ
)
よりは
徐晃
(
じょこう
)
の騎馬隊、西南よりは
楽進
(
がくしん
)
の
弩弓隊
(
どきゅうたい
)
、東北よりは
夏侯惇
(
かこうじゅん
)
の舞刀隊、
西北
(
いぬい
)
よりは夏侯淵の飛槍隊など、八面
鉄桶
(
てっとう
)
の
象
(
かたち
)
をなしてその勢
無慮
(
むりょ
)
十数万——その何十分の一にも足らない張飛
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兵は
鉄桶
(
てっとう
)
の如く、曹操を取り囲んで、吟味所へ
拉
(
らっ
)
してしまった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人を
鉄桶
(
てっとう
)
の内に取り囲んで、近づけもさせなかったのである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“鉄桶”の意味
《名詞》
鉄製の桶。
非常に堅固なこと。
(出典:Wiktionary)
鉄
常用漢字
小3
部首:⾦
13画
桶
漢検準1級
部首:⽊
11画
“鉄”で始まる語句
鉄
鉄瓶
鉄漿
鉄槌
鉄砲
鉄棒
鉄扉
鉄格子
鉄鎚
鉄柵