野田のだ)” の例文
ことながあひだ野田のだ身上しんしやうつて近所きんじよくら親方おやかたをしてるのが郷里きやうりちかくからたので自然しぜん知合しりあひであつたが、それが卯平うへい引退いんたいすゝめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
只今の川蒸汽かわじょうきとは違い、らちが明きません。市川、流山ながれやま野田のだ宝珠花ほうしゅばなと、船を附けて、関宿せきやどへまいり、船を止めました。
大川幸子は二十歳の頃野田のだ某という医学生と恋愛に陥り、間もなく妊娠したが、野田は幸子と結婚できない事情があって、郷里に帰ってしまった。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ある年の春、Nさんはある看護婦会から牛込うしごめ野田のだと云ううちくことになった。野田と云う家には男主人はいない。
春の夜 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
宮城野みやぎのの萩、末の松山まつやまの松、実方さねかた中将の墓にうる片葉のすすき野田のだ玉川たまがわよし名取なとりのたで、この五種を軸としたもので、今では一年の産額十万円に達していると云う。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
本来からいえば、小樽を出て翌朝、私たちは樺太西海岸の本斗ほんとに上陸して、真岡まおかより野田のだへ汽車で行き、一晩泊って、それからまた海路を国境の安別あんべつまで続航するはずであった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
秋収あきをさめ、野田のだのせはしさ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
野田のだ卯平うへい役目やくめといへばよるになつておほきな藏々くら/″\あひだ拍子木ひやうしぎたゝいてあるだけ老人としよりからだにもそれは格別かくべつ辛抱しんぼうではなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
野田のだという少年が、しかりつけるようにいいました。野田君は、柔道をならっている強い少年でした。
夜光人間 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
野田のだへはらせてくれめえか」といた。勘次かんじ近所きんじよもの卯平うへいらせることもわすれてたゞ苦惱くなうする病人びやうにんまへひかへてこまつてるのみであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)