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通抜
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とおりぬ
ふりがな文庫
“
通抜
(
とおりぬ
)” の例文
旧字:
通拔
その間をば一同を載せた舟が
小舷
(
こべり
)
に
漣
(
さざなみ
)
を立てつつ
通抜
(
とおりぬ
)
けて行く時、中にはあわてふためいて障子の
隙間
(
すきま
)
をば
閉切
(
しめき
)
るものさえあった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
例の下を向いて
悠々
(
ゆうゆう
)
と
小取廻
(
ことりまわ
)
しに
通抜
(
とおりぬ
)
ける旅僧は、
誰
(
たれ
)
も袖を
曳
(
ひ
)
かなかったから、幸いその後に
跟
(
つ
)
いて町へ入って、ほっという息を
吐
(
つ
)
いた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何分
(
なにぶん
)
月が
佳
(
い
)
い晩なので、ステッキを手にしながら、ぶらぶら帰って来て、表門へ廻るのも、面倒だから、
平常
(
ふだん
)
皆が
出入
(
でいり
)
している、前述の隣屋敷の裏門から入って、竹藪を
通抜
(
とおりぬ
)
けて
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
なにしろ途中殺生谷の近くを通らなければならぬので、彼はもう足も地につかぬ気持で急いだ、——そしてようやく
其処
(
そこ
)
を
通抜
(
とおりぬ
)
けてやれやれと思ったとたんに、右手の闇の中から突然
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
汽鑵部の夜勤を
終
(
しま
)
った職工が三人、そのツンボ・コートを
通抜
(
とおりぬ
)
けて来た。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
雨降りの中では
草鞋
(
わらじ
)
か靴ででもないと
上下
(
じょうげ
)
は
難
(
むずか
)
しかろう——
其処
(
そこ
)
を
通抜
(
とおりぬ
)
けて、
北上川
(
きたかみがわ
)
、
衣河
(
ころもがわ
)
、名にしおう、
高館
(
たかだち
)
の
址
(
あと
)
を望む
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三頭
(
みつ
)
も
四頭
(
よつ
)
も一斉に吠え立てるのは、
丁
(
ちょう
)
ど
前途
(
ゆくて
)
の
浜際
(
はまぎわ
)
に、また人家が七八軒、浴場、
荒物屋
(
あらものや
)
など
一廓
(
ひとくるわ
)
になって
居
(
い
)
るそのあたり。
彼処
(
あすこ
)
を
通抜
(
とおりぬ
)
けねばならないと思うと、今度は
寒気
(
さむけ
)
がした。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
駒下駄
(
こまげた
)
を脱いで、手に持つのだ、と見る、と……そのしもた家へ、入るのではなくて、人の居ない
間
(
ま
)
を
通抜
(
とおりぬ
)
けに、この格子戸へ出ようとするのだ、何故か、そう思うと、急に
可恐
(
おそろし
)
くなって、一度
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
泉殿
(
せんでん
)
に
擬
(
なぞら
)
へた、
飛々
(
とびとび
)
の
亭
(
ちん
)
の
孰
(
いず
)
れかに、
邯鄲
(
かんたん
)
の石の
手水鉢
(
ちょうずばち
)
、名品、と教へられたが、水の音より
蝉
(
せみ
)
の声。で、勝手に
通抜
(
とおりぬ
)
けの出来る茶屋は、昼寝の
半
(
なか
)
ばらしい。
何
(
ど
)
の座敷も
寂寞
(
ひっそり
)
して
人気勢
(
ひとけはい
)
もなかつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「居ない。」と
呟
(
つぶや
)
くが如くにいって、そのまま
通抜
(
とおりぬ
)
けようとする。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
“通”で始まる語句
通
通夜
通過
通人
通路
通牒
通暁
通草
通常
通帳