ちく)” の例文
受け御手當金てあてきん百兩と御墨附おすみつき御短刀までのち證據しようことて下されしことちく物語ものがたればお三ばゝは大いによろこび其後は只管ひたすら男子の誕生たんじやうあらんことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
卯平うへいもとより親方おやかたからうち容子ようすやおつぎの成人せいじんしたことや、隣近所となりきんじよのこともちくかされた。卯平うへいくぼんだ茶色ちやいろあたゝかなひかりたたへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その口書と、知事の返牒へんちょうだけを持って、ついに何濤かとうは、不面目な恥を忍んで済州へ帰ってきた。——そして、待ちかねていた奉行にちく一を語ると、奉行は
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは反感と好奇心とで一杯になつた十三丁目の重三が、遠くの方から平次の調べをちく一見て取つた上、一と足先に奉公人達の身許調べに飛んで行つたのです。
パッカアは妙にこのリッツの同伴者が気になったとみえて、それとも、人物それ自身が印象的な風貌を備えていたのか、じつに詳しくその人相服装を覚えて、後日ちく一申し立てている。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ちく一聞き取った上、伯父さんは
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
聞て大いにおどろもし此事表立おもてだて吟味をうける時は是非共今迄の惡事を彼等よりちく一申し立て露顯ろけんに及ばん我れ夫れを言解いひとかん道なし是れ自ら石を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その日、武松はこの鄆哥うんかと九叔とを連れて、県役署の門に入り、直接、知事の面前へ出て、ちく一を訴え出た。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちく一に白状はくじやうにはおよびされば殺害せしと思ふ當人を取逃とりにがし殊に御法度はつと一人旅ひとりたびとめ落度おちどの申譯立ちがたく罪は徳右衞門一人にし長き牢舍らうしやのうちあはれむべしかれ牢死ろうし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あいや、事情は、上申書にもちく一したためた通りでござりまする。かつはまた、ご赦免しゃめんの沙汰も聞えましたので、出府いたした次第、なにとぞご寛大をもちまして」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と梅市が、そこで出会った事や見届けたことをちく一告げておりますと、「山の会堂」の横から十数人の者が明り木の炎を振ってワラワラと馳け寄って来るのが手にとるように見える。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勿論のこと、下り松における決戦の結果はちく一、ここにも伝わっている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)