追付おっつ)” の例文
アイスクリームだからそれで済むけれども価値ねうちのない人に恋愛して後に至ってその価値がない事を発見したらモー後悔しても追付おっつかん。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「自分は医師いしゃでありながら、何故う不注意だろう。」と、彼は自己おのれを叱っても追付おっつかない。市郎は余りに慌てて我家を出たのであった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
亥「身に余ったともれえで仮寺かりでらを五軒ばかりしなければ追付おっつかねえ、酒が三たる開いて仕舞う、河岸かしや何かから魚を貰って法印が法螺の貝を吹く騒ぎ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
追付おっつけクルトやズッコのお仲間なかまが日本人の余り知らない傑作の複製を挿図した椿岳画伝を出版して欧洲読画界を動揺する事がないとも限られない。
それは、追付おっつかれる前に、この潜水服を着てヒラリと海中に飛びこんだからだ。この潜水服には酸素タンクがついているから、一人で海底が歩けるのだ。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
哺乳をやめ、産児制限をやり、台所、縫物、そのほか家事一切をやめて、朝から晩まで自動車でかけ持ちをやっても追付おっつかぬ方がおいでになる位である。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
そして私たちはとうとう波のない時には腰位まで水につかるほどの深味に出てしまいました。そこまで行くと波が来たらただ立っていたままでは追付おっつきません。
溺れかけた兄妹 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
あとからパタパタと追蒐おっかけて来るのは、雪江さんにきまってる。玄関で追付おっついて、何を如何どうするのだか、キャッキャッと騒ぐ。松がかなわなくなって、私の部屋の前を駈脱かけぬけて台所へ逃込む。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
借金の眼鼻を付けて身の立つ様にして貰うにゃア、何様どんな事をしても三拾両貰わなけりゃア追付おっつかねえから、三拾両お借り申してえのさ、ねえ何うか
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
力を落して病気になったら後で悔んでも追付おっつきません。それに満の方ではあの子がこんない娘になっている事を知るまいからそれで東京の女がくなったのです。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
結局、小さな停留場を廃して、朝から晩まで急行にせねば追付おっつかぬようになりそうな傾向が見える。
刻莨きざみの三銭がとこけむよ、今度アくにゃア二つと燐寸まちまで買ってかねえじゃア追付おっつかねえ、これで割前わりめえ勘定だった日にゃア目も当てられねえてえことよ
貴嬢あなたさえそういうお覚悟でいらっしゃるなら私なんぞはに継いで勉強しても追付おっつきません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
……さようで……その『胎児の夢』と申します論文の内容も、追付おっつけお眼に触れる事と存じますが、単にその標題を見ましただけでも尋常一様の論文でない事がわかります。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
丈「さア色々仔細有って、実に負債ふさいでな、どうも身代が追付おっつかぬ、ずどうあっても身代限しんだいかぎりをしなければならぬが、身代限をしても追付かぬことがある」
... 和女おまえが考えても解るだろう、今までのようなおかゆ重湯おもゆを食べさせるのとこんなスープを食べさせるのと何方どっちが身体にきくだろうか」下女「それはモーお粥なんぞは足元あしもとへも追付おっつきません」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
どうぞ勘弁かんべんしておくんなさい。あやまっても追付おっつくめえけんど……
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
続いてあとから追掛けて来ました盗人は、よう/\追付おっついて、ドンとお町の脊中せなかを突きましたから、お町はのめるはずみに熊のんでいる穴の中へ落ちました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と今更びても追付おっつかず。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
文「今更そんな事を云っても追付おっつかない」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)