身請みうけ)” の例文
篠原梅甫が今の妻女の小芳を吉原から身請みうけしたとき、場所が閑静なのと、構えの洒落しゃれている割に値が安かったところから買い取ったものだが
とゞまりしと雖も小夜衣の事を思ひきりしに非ず只々たゞ/\便たよりをせざるのみにて我此家の相續をなさば是非ともかれ早々さう/\身請みうけなし手活ていけの花とながめんものを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
せめて金を隱したら、半次郎が三百兩持出して身請みうけするといつたやうな馬鹿なことを諦めるかも知れないと思つたんだらう
可愛い男の栄之丞が反対をするので、八つ橋もその気になつて、たうとう次郎左衛門の身請みうけを断ります。
吉原百人斬り (新字旧仮名) / 正岡容(著)
気に入った女でもあったら身請みうけして、どこか景色のいい土地にしゃれた家でも建て、その女のひとと、しばらくままごと遊びなんかして見るのもいいじゃないか。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
誠にわたくしがあやまった、誠にどうも相済みません、わたくし取上とりのぼせていて貴所方あなたがたはお村の身請みうけをするお客と存じまして、とんでもない事を申しましたが、どうか御勘弁を願います
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見返すほどの金子かねをこしらえよう。二人の力を合わせても、あの売女奴ばいため身請みうけしよう
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一つ——久しぶりに、たんまりとありそうなふところを狙って、妹の身請みうけの金と、あとの二人が幸福しあわせになれるだけの金を稼いでやろうか。——なんの造作ぞうさもない朝飯前のひと仕事に。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は身請みうけされて廃業したという。朋輩が夕刊を配達してK楼にきたら、番頭さんが新聞の配達を中止してくれと云い、そのことを告げたのだという。朋輩は驚いている私を尻目しりめにかけ
朴歯の下駄 (新字新仮名) / 小山清(著)
種彦は知己ちかづきの多い廓の事とて適当の人を頼んで身請みうけや何かの事はおっての相談に
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その時や例の錦城館のお富の身請みうけをソーレターノーム。
「然るところ、昨今これに身請みうけの客が附きまして」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「ありますよ——番頭の伊八は年甲斐もなく飛んだ道樂者で、若旦那が身請みうけする前は、お袖の客筋で、うるさく附け廻して居たんだつて言ひますよ」
其後寛政の頃三代目の瀬川は或大諸侯あるだいしよこうの留守居に身請みうけせられしが其人主人のかねつかすご閉門へいもん申付けられしに瀬川せがはは隙を見て遁亡かけおちしければ彼の留守居るすゐは瀬川故になんを受しに瀬川はわれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そんなら身請みうけしようと云い、大金を出して其の翌年の二月藤屋のうちへ入る。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「イヤ。心配しなくともいいんだよ。お前を身請みうけするのだ」
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「そこが、それ金の有難味ですよ。身請みうけをするほど金を積むと、大抵の女は、イヤとは言はないさうですよ、その彫つた後が落着くと、すぐ灸で燒切る」
旦「どうか此の身請みうけを致しいものだ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勘當かんだう致せしも當分の見懲みこらしと存ぜしなり五八とやらは幇間たいこなどに似合にあはぬ深切なる者又初瀬留事もまことをし心底しんてい其樣な女ならば傾城けいせいにてもくるしからず身請みうけ致し夫婦に致さんと存ずるが何卒なにとぞ御世話下されまじきやと母の頼みなれば吉右衞門も平兵衞にむかひ何卒此上は貴殿きでんへ御任せ申間宜敷御取計おとりはからひ下され候樣にと申にぞ家主平兵衞夫は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
先代の薄墨華魁が死んだ後は、何んでも色子になったとか妙な噂もありましたが、吾妻屋さんに身請みうけされた二代目の薄墨華魁が見付けて来て、大層世話をして居りました。
吾妻屋に身請みうけされてからも、顏の一寸似てゐるのを幸ひ、弟といふことにしてつれ込み、不義のちぎりを重ねてゐたが、矢つ張り吾妻屋永左衞門が邪魔になつて殺す氣になつたのだ
贋金造りを縛つた褒美で、三浦屋の高尾の身請みうけでもするやうな氣でゐる空想家のガラツ八ですが、一面にはまた錢形平次の助手として、辛辣しんらつ極まる實際的な鬪士でもあつたのです。
贋金造りを縛った褒美で、三浦屋の高尾の身請みうけでもするような気でいる空想家のガラッ八ですが、一面にはまた銭形平次の助手として、辛辣しんらつきわまる実際的な闘士でもあったのです。
「隱さずに言つて貰ひたい。三百兩持出して、女の身請みうけをしようとした。それを妹さんが意見した、——聞かずに夜中に行つて金箱の千兩を持出したが、孫六に見とがめられて——」
「娘のお歌さんの親許身請みうけのとき、只みたいに安くして貰ったんだってネ」
「半次郎の道樂は止まない、——近頃は吉原の何んとか言ふ女に入れ揚げて、身請みうけの相談になつてゐるさうだ。下つ引をやつて調べさせると、年内に三百兩の金を積んで根引をする約束だとさ」
「娘のお歌さんの親許身請みうけの時、唯みたいに安くして貰つたんだつてネ」
「ところが、わしは毛頭覚えはない——親分も知っての通り、お咲は大金を出して身請みうけをしたばかり、どんな無算当な人間でも、それを殺して、自分も処刑おしおき台に上る気持になれるものじゃない——」
「此家の嫁のお袖は、芳町の藝者上がりで、若旦那の初太郎が身請みうけをして、假親を立てて家へ入れたが、くなつた親旦那は大の不承知で、ツイ此間まで、出すの引くのといふ騷ぎがあつたこと——」