貸金かしきん)” の例文
貸金かしきんの催促方なぞに頼まれて掛合にきまして、長柄ながつかへ手を掛け、おどかして金を取って参りますから、調法ゆえ百姓が頼みますので
いづれ敵手あひて貸金かしきんの事から遺趣を持つて、その悔しまぎれに無法な真似まねをしたのだらうつて、大相腹を立てておいでなのだよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
尤もそれは鼠が風俗をみだすとか、または象に貸金かしきんがあるからといふ為めではなく、鼠の恰好が chacanas といふ小さな動物によくてゐるからださうだ。
貸金かしきんとりたて、みせへの見廻みまわり、法用はうようのあれこれ、つき幾日いつか説教日せつけうびさだめもあり帳面ちやうめんくるやらけうよむやらくては身體からだのつゞきがたしと夕暮ゆふぐれの縁先ゑんさきはなむしろをかせ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「いや、のな、商業しやうげふ取引上とりひきじやうわし貸金かしきんのあるものがまゐつたで。はづかしいわ、は、は。」
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つきの貸金かしきん催促さいそくといひ、『御返事ごへんじつてります』とひ、面白おもしろはなしだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
両替が本業なのだが、貸し借りの仲介なかだち貸金かしきんの取り立て、あたらしく稼業しょうばいをはじめるものに資本もとでの融通をしたり、その他、地所家作の口ききなど、金のことなら、頼まれれば、どんなはなしにも立つ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
貸金かしきんはならぬ都の八重ざくらけふ現金の人ぞこひしき
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)