諸葛孔明しょかつこうめい)” の例文
綸巾りんきんをいただき羽扇うせんをもって、常に三軍を指揮していたという諸葛孔明しょかつこうめいは、四輪車という物に乗って戦場を奔馳ほんちしていたそうですが」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸葛孔明しょかつこうめいの生涯は偉大なる悲劇だ。あんな大人物でありながら自己の全部を玄徳げんとくに捧げたのは感心だ。孔明のえらさは透き徹ったえらさだ。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
おもうに彼みずからその短所を知りたるか。彼は四角なるフランクリンなり、彼は主我的にして、ややもすれば究屈なる諸葛孔明しょかつこうめいなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
蜀漢しょくかん劉備りゅうび諸葛孔明しょかつこうめい草廬そうろを三たびう。これを三れいと言うてナ。しん、もと布衣ほい……作阿弥殿、御名作をお残しになるよう、祈っておりますぞ。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「軍師なるかな、諸葛孔明しょかつこうめい。」といい棄てに、ばたばたどんと出て行ったは、玄関に迎えるのである。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちっとも騒がず、計略を以て一揆の大勢を物の見事に退却させてしまいました、全く軍師の仕事でげす、わが朝では楠木、からでは諸葛孔明しょかつこうめいというところでござんしょう
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これは兵法へいほうでいう八もん遁甲とんこう諸葛孔明しょかつこうめい司馬仲達しばちゅうたつをおとし入れたじゅつでもある。秀吉、それをこころみて、滝川一益たきがわかずますをなぶったのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国の時代の有名な諸葛孔明しょかつこうめいでございますが、御承知の通り、諸葛孔明様の有名な出師すいしひょうの中に
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また、そんな中でも、後に案じられるもう一つのことは、別れぎわに自分から玄徳へ推薦しておいた諸葛孔明しょかつこうめいのことである。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死んだ人が生きたものを走らせることは、諸葛孔明しょかつこうめいのほかにはないことじゃ、おうおう、これは其方そのほうが何かと言いかけるものだから、死んだはずの宇津木の石が、どうやら生き返ったわい。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
で、自分が幾度か、その名を訊ねてみたが、ただ好々よしよしとばかり答えられて、明かされなかった。——もしや、諸葛孔明しょかつこうめいとはその人ではあるまいか
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸葛孔明しょかつこうめいは最初からこの最も強い地位に坐しておいでになりました、その求めざるの心が安定いたしておりましたのは、それだけ修養が積んでおりましたのですが、一方から物質的に見てみますると
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この頃、諸葛孔明しょかつこうめいはお留守のいとまに、折々、漢中まで出てきて、諸所の要害を、いよいよ大事と固めている由です。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
学人がくじんは、代々土着の家柄の人で、世評に聞けば、書は万巻に通じ、胸に六韜三略りくとうさんりゃくをきわめ、智は諸葛孔明しょかつこうめいに迫り、才は陳平ちんぺいにも比肩ひけんし得よう、とある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、得意の歌をうたい、さらにまた、求められて、諸葛孔明しょかつこうめいの“五じょうげん”を指笛で吹いて聞かせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さ、ここで陣をくのだ。さしずめ、敵の武蔵は、曹操そうそう、わしは諸葛孔明しょかつこうめいというところかな」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
諸葛孔明しょかつこうめいはこんな爺ではなかったろう。それにさ、数万の兵をようしながら千早一つが陥せんとは、あまりにのうがなさすぎよう。そんな所へ出向くのはまあ真ッ平だな」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長の正嗣せいしとして立てた三法師さんぼうし秀信ひでのぶ)をただ守り立てるためとして——自己を劉備玄徳りゅうびげんとく遺孤いこを託された諸葛孔明しょかつこうめいの心事になぞらえ——ひたすら時節を待って来たのであった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国鼎立ていりつの大勢は、ときの治乱が起した大陸分権の自然な風雲作用でもあったが、その創意はもともと諸葛孔明しょかつこうめいという一人物の胸底から生れ出たものであることは何としてもいなみがたい。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて日本の詩や歌や「もののあわれ」にいろどられた人々の生死観とでは、もちろん大きな相違があるが、とまれ諸葛孔明しょかつこうめいの死に対しては、当時にあってもその蜀人たると魏人たるを問わず
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この諸葛瑾しょかつきんこそ、諸葛孔明しょかつこうめいの実兄で、弟の孔明より年は七つ上だった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一目に知れるかしら綸巾りんきん、すなわち諸葛孔明しょかつこうめいだった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)