ばなし)” の例文
その晩十時過ぎまで、お庄は茶ので話し込んでいた。あるじが寝てからも、細君に引き留められて、身の上ばなしなどして聞かされた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
怪談の種類も色々あって、理由のある怪談と、理由のない怪談とにけてみよう、理由のあるというのは、例えば、因縁ばなし、怨霊などという方で。
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝から昌作の案内で町に出た吉野の帰つた時は、先に帰つた信吾が素知らぬ顔をして、客の誰彼と東京ばなしをしてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
むしろったの殺したのとやにヤボ臭い刑事事件なんぞよりも、いっそ民事の、なにか離婚ばなしかなんかのほうが、こうしんみりして、面白い位いですよ……
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
あいちやんはそれをはなはどくおもひました)ねずみひくふるごゑで、『あのきしかうぢやありませんか、それからうへばなしをしませう、うすれば何故なぜわたしねこいぬきらひかわかります』とひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
どうかすると心にもない自分のうえばなしがはずんで、男にもたれかかるような姿態ようすを見せたが、聴くだけはそれでも熱心に聴いている浜屋が
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
しかし銀子は千々ちぢに思い惑い、ある時ぽつぽつした彼女一流の丸っこい字で、母へ手紙を書き、この結婚ばなしの成行きを占ってもらうことにした。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
婚礼ばなしが出るようになってから、作は懲りずまに善くお島の傍へ寄って来た。余所行よそゆきの化粧をしているとき、彼は横へ来てにこにこしながら、横顔を眺めていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
世間的にも私生活的にももはや収拾のつかなくなった二人の立場を、擬装的にでも落ち着かせようとして、二人のあいだに結婚ばなしの持ちあがったのもまたそのころのことであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
千葉で栗栖との結婚ばなしのあった時、妹の一人に養子を取りさえすれば、自分の籍はぬけるように聞いており、相続者の責任は早くがれたいとは考えていたのだったが、そんな世間的のことは
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
別ればなしがうまくまとまるかどうかが、あの事件以来、二人の頭にだる刺戟しげきを与えていたが、細君からすっかり離れてしまった浅井の心には、まだ時々かすかな反省と苦痛とがとげのように残っていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
笹村はお銀を呼びつけて、また同じような別ればなしを繰り返した。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)