みづか)” の例文
母がみづから書く平仮名の、然も、二度三度繰返して推諒しなければ解らぬ手紙! 此間こなひだ返事をやつた時は、馬鹿に景気のい様な事を書いた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いでわれみづから往いて求めんとて、朝まだきに力強き漕手こぎて四人をやとひ、みなと舟出ふなでして、こゝかしこの洞窟より巖のはざまゝで、名殘なごりなく尋ね給ひぬ。
東大寺は常在不滅じやうざいふめつ実報寂光じつぱうじやくくわうの生身の御仏とおぼしめしなずらへて、聖武皇帝、てづかみづかみがたて給ひし金銅十六丈の廬舎那仏るしやなぶつ烏瑟うしつ高くあらはれて、半天の雲にかくれ、白毫びやくがう新にをがまれ給ひし満月の尊容も
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
しんち五じやうけり、の・しやうたる、士卒しそつ最下さいかなるもの衣食いしよくおなじうし、ぐわするにせきまうけず、くに(七〇)騎乘きじようせず、みづかかてつつになひ、士卒しそつ勞苦らうくわかつ。そつ(七一)しよものり。
又斷つて置く、自分は既に此事件を以てみづか出會でくわした事件中の最大事件と信じ、其爲に二十幾年養ひ來つた全思想を根柢から搖崩された。そして、今新らしい心的生涯の原頭に立つた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
又断つて置く、自分は既に此事件を以てみづから出会した事件中の最大事件と信じ、其為に二十幾年来養ひ来つた全思想を根底から揺崩された。そして、今新らしい心的生涯の原頭げんとうに立つた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)