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衰頽
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すいたい
ふりがな文庫
“
衰頽
(
すいたい
)” の例文
木彫りの世界はこういうあわれむべき有様でありましたので、私は、どうかしてこの
衰頽
(
すいたい
)
の状態を
輓回
(
ばんかい
)
したいものだと思い立ちました。
幕末維新懐古談:76 門人を置いたことについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
四十が来ても四十一が来ても別に心持の若々しさを失わないのみならず肉体の方でもこれと云って
衰頽
(
すいたい
)
の兆候らしいものは認めないつもりでいた。
厄年と etc.
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人は上下に
擘
(
さ
)
かれ貧富に隔てられた。
呪
(
のろ
)
いを以て語られる資本制度は、その帰結であった。事実が示す如く、工藝美の
衰頽
(
すいたい
)
と資本制度の
勃興
(
ぼっこう
)
とは平行する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
春信
出
(
い
)
でて後、錦絵は
天明
(
てんめい
)
寛政
(
かんせい
)
に至り
絢爛
(
けんらん
)
の極に達し、
文化
(
ぶんか
)
以後に及びて
忽
(
たちま
)
ち
衰頽
(
すいたい
)
を
醸
(
かも
)
すに至れり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
後年この祭式が
衰頽
(
すいたい
)
して、
奇怪
(
きっかい
)
な姿をした色々の神霊が出現したことが、『南島雑話』のような外来人の書いたものにあるのを見ると、或る者は意識してこれに
扮
(
ふん
)
し
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
芸術的小説の
衰頽
(
すいたい
)
、大衆文芸の発展は、これを世界中、凡ゆる処に例をとることができる。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
敵の捨てて
遁
(
に
)
げた
汚
(
きたな
)
い洋館の板敷き、八畳くらいの
室
(
へや
)
に、病兵、負傷兵が十五人、
衰頽
(
すいたい
)
と不潔と叫喚と重苦しい空気と、それにすさまじい
蠅
(
はえ
)
の群集、よく二十日も辛抱していた。
一兵卒
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
じっとすわり込んで、ぼんやりし、がっかりしていた——ただ思い出にふけるばかりで。彼女は自分の
衰頽
(
すいたい
)
に気づいていた。それを恥じていた。そして
息子
(
むすこ
)
にそれを隠そうとつとめた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
同じクライスラーがロンドンの管弦団で入れた後のレコードは、技巧的には
衰頽
(
すいたい
)
を見せないまでも、その輝やきと若さと、美しさにおいて、吹込みの悪い最初のものに及ぶべくもない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
左
(
さ
)
れば自国の
衰頽
(
すいたい
)
に際し、敵に対して
固
(
もと
)
より
勝算
(
しょうさん
)
なき場合にても、
千辛万苦
(
せんしんばんく
)
、力のあらん限りを
尽
(
つく
)
し、いよいよ勝敗の
極
(
きょく
)
に至りて始めて和を講ずるか、もしくは死を決するは立国の公道にして
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
老齡
(
ろうれい
)
と
棋
(
き
)
力の
衰頽
(
すいたい
)
と、これは
悲
(
かな
)
しい事に如何ともし
難
(
かた
)
いものだからだ。
僕
(
ぼく
)
は出でて
戰
(
たゝか
)
はざる如き
棋士
(
きし
)
は如何なる
棋
(
き
)
力ありとも
到底
(
とうてい
)
尊敬
(
そんけい
)
出來ぬが、その
意味
(
いみ
)
では小菅
翁
(
おう
)
の
詞
(
ことば
)
に同
感
(
かん
)
し
能
(
あた
)
はぬでもない。
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
民藝の
衰頽
(
すいたい
)
は工藝品の大部分を殺してしまうことを意味するからである。そうしてこの没落によって「美によって義とせられる王国」は不可能となるからである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私の弟子を取った目的は我が
木彫
(
もくちょう
)
の勢力を社会的に扶植しようということにあったというよりも我が木彫芸術の
衰頽
(
すいたい
)
を
輓回
(
ばんかい
)
するということにあったので、したがって
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
この時はもうすでに
衰頽
(
すいたい
)
の極度に達し、しかもその原因を尋ねようとする者はなかったが、歴史に通じないこの旅人には、何故にここがひとたびは栄えて新たな移住者を迎え
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
浮世絵はその
錦絵
(
にしきえ
)
なると絵本なるとを論ぜず共に著しき
衰頽
(
すいたい
)
を示せり。時勢は
最早
(
もはや
)
文政
天保
(
てんぽう
)
以後の浮世絵師をして
安永
(
あんえい
)
天明
(
てんめい
)
時代の如く
悠然
(
ゆうぜん
)
として制作に従事する事を許さざるに至れり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
まったく
衰頽
(
すいたい
)
した顔だちだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そうしてギルドの
衰頽
(
すいたい
)
(すなわち資本制度の勃興)と工藝の
廃頽
(
はいたい
)
とは併行する。美しい工藝には、いつも協団的美が潜む。離叛と憎悪との社会から、美が現れる機縁はない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
これほどにも近世以来のニルヤの観念は激変し、もしくは
衰頽
(
すいたい
)
していたのであった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“衰頽”の意味
《名詞》
衰 頽(すいたい)
衰えて弱ること。すたれること。
(出典:Wiktionary)
衰
常用漢字
中学
部首:⾐
10画
頽
漢検1級
部首:⾴
16画
“衰”で始まる語句
衰
衰弱
衰微
衰兆
衰残
衰勢
衰褪
衰亡
衰運
衰容