あらは)” の例文
こんなうたになると、自由じゆううかれるような調子ちようしが、ぴったりともりを鯨船くぢらぶねのすばやい動作どうさあらはすに適當てきとうしてゐるではありませんか。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
小學校へはひつて文字を習ひおぼえ、をさない頭にも自分のさうあらはすことを知つて、初めて書き上げた作文にし思ひ出がのこるならば
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
實を記して評論に代ふる逍遙子が趣意に漣山人の服せしを、特書してあらはしいだしゝ正直正太夫といふものあり。(國會)これを一人の傍觀者とす。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
きかれ其方共顏を上よと有しに兩人は恐る/\少しかほあぐる時駕籠のりものの中より熟々つく/″\と見らるゝに(此時は所謂いはゆる誠心せいしん虚實きよじつ眞僞しんぎおもてあらはるゝを見分る緊要きんえうの場なりとぞ)
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何枚張りといふのは、紙鳶の大きさをあらはす言葉らしい。そんなことは栄蔵は知らない。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
それをかういふふうにして、意味いみあらはあひだに、やす氣分きぶん保存ほぞんしようとするのが、うたうへ工夫くふうであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
朱塗しゆぬりになし其上に黒漆くろうるしを掛るは是日輪の光りに簇雲の覆し容をあらはしたるにて是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれどもこれは、和歌わかではまづ出來できない相談そうだんで、おそらくこのひとが、かういふふうな思想しそうあらはかたをする俳句はいくにも、興味きようみつてゐたから出來できたものなのでせう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)